「え・・・?」

その言葉に、思わず息を呑んだ。

リボーンの瞳は真剣で、そこには嘘偽りもない。
血に流れるブラッド・オブ・ボンゴレもそれを肯定しているようだった。


「・・・ハルは、ボンゴレ[世ダニエラの子孫だ」


もう一度繰り返したリボーンの言葉に、思わずハルを振り返る。
ハルは俯いていて、その顔は見えなかった。

「・・・それって、つまり・・・」
「ハルには炎が受け継がれていない。だから、ドン・ボンゴレ候補にはならなかった」

「そ、っか・・・」
少しだけほっと息を吐く。

至って普通の(まぁ、突飛なところはたくさんあるけれど)、そんな女の子だと思っていた。
もうすぐイタリアに行くからこそ、ハルにはマフィアに関係ない場所で生きていてほしいと思っていた、のに。


「ハルは・・・」
「とはいえ、ボンゴレの血が流れていることを利用される可能性も高い。・・・イタリアに連れていくことになる」
「そんな・・・」

勿論ハルの安全を天秤にかければそちらの方がいいにきまっている。
関係者、ダニエラの子孫、それだけで利用される。

例えハル自身何もできないとしても。


「じゃあ、リボーンが散歩道でハルの家の前を通ってたのも・・・」
「一応護衛と、あとは接触のためだぞ。あらゆる万が一を想定して、早めに近くに置いておく必要があったからな」
「・・・」

リボーンの言葉に言葉を噤む。

出会いからすべて作為的だったのか。
今ではもう失うことのできないほど大切な仲間になった彼女と出会わせてくれたことには感謝するけれど。

なんだか、切ない。
・・・いや、なんか違うんだけど。

「・・・は、ハル」

頭の中に浮かんだ思考を振り払うように、まだ俯いたままのハルに声をかけた。
すると、パっとハルが顔をあげる。

「・・・ハルにボンゴレ[世のダニエラさんの血が流れてるなんてなんだか、変な感じですよね!前ジャンニーニさんにボンゴレ[世の写真を見せていただいた時には、似てるなーくらいしか思わなかったんですけど!はひ、本当にデスティニーってすごいですよね!」
「・・・デスティニーって」

うきうきとしてます!といわんばかりの態度で話すハルに、思わずため息を漏らした。

瞬間、ちりっと首筋に何かが走る。
それにつられハルを見つめた。

「デスティニーですよ!はひー、やっぱりハルはツナさんと出会う運命だったんですね」

そう、拳を握って力説しているハルの手が。


・・・震えて、る?


和気藹々とリボーンと話をしているのに、その握った手だけは震えていて。


ただ、それだけを見つめていた。





見つけたその違和感



( どうしてそんな笑顔で手を震わせているの? )