「おーおー、派手なこって」


くくっと喉を鳴らせて、それから状況を楽しんでいるそぶりを見せる家光を、リボーンはぎろりと眼光鋭く睨んだ。
正直、そんな笑い事では全く持ってない。

「何がだ。ボンゴレの守護者が全員離反するなんて、聞いたことがないぞ」

前代未聞だ。

そう言ってやれば、また家光は楽しそうに笑う。
「理由なんて分かってるんだろ?リボーン」
家光がそう楽しそうに言えば、リボーンは苛立たしそうに舌うちするだけだった。


全員が離反した理由、そんなことはっきりと分かっている。
むしろ、自分がこちらの立場にいることのもどかしさすら感じているのだから、どうしようもない。

「あいつらが忠誠を誓ったのはボンゴレじゃない・・・綱吉に、だ」

そう珍しく名前を略さずに呼んで。
あちら側に参加したいとどこか思っている自分に苦笑する。
それでも自分がここにいるのは、今回が綱吉達を傷つけるためのものでは・・・いや、むしろ綱吉やハルを護るためのものだからだろうか。


「悪い顔だな」
「お前に言われたくないぞ」
にやにやと笑みを浮かべ言う家光に、そう返すしかできなかった。



さて、とリボーンは足を組み替えた。
あまりにも行動のわかりやすい2人のことを考える。

今どこにいるのかなどは分からないが、それでも彼等はさして遠くに離れてはいないだろう。
金銭的な問題ではなく、心理的な問題として。

そして今、綱吉とハルが一緒に手を取り合ったまま逃げているとは、到底思えなかった。
綱吉が一緒だから、なおさら。


「あいつが、さっさと己の心に素直になっておけばよかったんだ」

きっと今たったひとりだろう教え子を思い浮かべて、リボーンは小さな笑みを浮かべた。


「バジル」
「はい!」

声をかけるとすぐさま返ってきた返事ににやりと笑みを浮かべて、最後の障害を提示する。


さて、あのダメツナがどう動くことやら。


「ハルを探してこい」

電源を切っていたとしてもその居場所を知らせるGPSの受信機を手渡して、リボーンはにやりと笑った。
二つのうち一つはこの家。


そして、もう一つは。


「はい、了解しました!」


黒曜あたりを移動する、たった一つの赤い点滅。





限りある世界



( その境界を決めつけたのは、誰だ? )