「うぇっ!?ちょ、は、ハルっ!?」


ハルを見つけた。
骨組み程度に作られた建設中のビルの上、壁際となんとも危険な場所にいたハルの姿を見つけた。
誰かと会話をしているようだったが聞きとれず、それでも堪え切れずに声をかけた。

その、すぐ後に。

「ツナさんっ!」

何かを投げたハルがくるりと後ろを向いて。


―――舞い降りた。



「っ!のっ!!」

俺へと手を広げ、じっと俺を見たまま飛び降りてくるハルを思わず呆然と見つめていた。
けれど、そんな場合なんてものじゃない。

急いで落下地点まで行くと、思いっきり腕を広げてハルを受け止める体制を作った。
俺がつぶれたっていい。
ただただ、俺はハルを受け止めなくちゃいけないんだと、そう思った。


「っ!」



「ハル殿!十代目!」

がっちりと彼女を受け止めると、バジル君の声がした。
じんわりと痛みを感じながらも、どうやらしっかりとハルを受け止められたのだということをバジル君の安堵の声に知る。
凄く心配そうなバジル君に罪悪感は募るけど。


「ごめん!急ぐから!それじゃ!」
「え?あ、はい・・・って、十代目ぇええええ!?!?」

困惑に叫ぶバジル君の声をBGMに、俺はハルを抱きしめたまま走り出した。



今度こそ、離さないようにしっかりと抱きしめたまま。





離さない、今度は絶対に



( その暖かさも、君という存在も、この想いも、何もかも )