その事実が心臓をより強く高鳴らせる。


「ハルは・・・ハル、は・・・前に、ダニエラさんのことについて、教えて貰ったんです」
「・・・うん」
少しだけ顔の距離をあけたまま。
綱吉の腕はハルの背中に周り、ハルの手も綱吉の胸に置かれたまま。
今にも触れあってしまいそうなほど近い距離でそっと会話を交わす。

「とても、ボンゴレを愛していた人で」
「そう、なんだ」
「はい、とてもとても、ボンゴレを、ボンゴレに付随するものを、愛していた人で」
「・・・うん」

語ってくれた人が言った。
だから、だからきっと。

「彼女が生まれ変わったら、きっとボンゴレをとても愛してくれるんでしょうね、って」
「・・・」

じっと視線を交わしたまま。
目をそらさず、見つめあったままで。

「とても素敵なことだって思いました。生まれ変わっても好きな気持ちが変わらないなんて」
「・・・うん」
「でも・・・でも、ハルがそうだって聞いて」
「うん」
「―――怖く、なったんです」

視界が滲む。
胸の奥からこみ上げるものに、思わずしゃくりあげた。
声が、震えてまともに言葉が出ない。

恐ろしかった。
そんなことないと思いながらも、怖くて怖くて仕方がなかった。

もしかして、もしかしたら。
ううん、そんなことない、絶対に。
絶対に?
・・・でも、もしかしたら。

ぐるぐると廻る思考を止めることが出来なくて。
デスティニーだなんて笑いながらも怖くて震えていた。


もしかしたら、この想いですら、そのせいなんじゃないかって。


ボンゴレを、とても愛していた人だという。
ボンゴレに付随するものすらも、愛していた人だという。
生まれ変わってもきっと、彼女はボンゴレを、ボンゴレに付随するものを愛しただろうという。


なら、この気持ちは。



「ハルが、ツナさんを好きなのも、ダニエラがボンゴレを愛していたからじゃないかって」


怖くて、怖くて仕方がなかったんです。





出来上がり済みの感情論



( 用意されていた答えなんて、そんなもの )