まるで、時が止まったみたいだった。 零れおちたかのような綱吉の言葉に、ハルは大きな丸い瞳を殊更大きく見開いていた。 今、たった今、零れおちた言葉。 聞き間違えるはずもない、その綱吉の唇から零れおちた言葉は。 「す、き・・・?」 誰に、誰に言ったんだろう・・・ううん、目の前にいるのは、誰でもないハルしかいない。 なら、その言葉は。 「今、気付いた。っていうか、好きって言ってから、気付いたんだけど」 真っ赤な、何よりも真っ赤な顔をした綱吉が視線を逸らさないままそう告げる。 嘘、嘘、嘘・・・本当に? 鼓動が高鳴って、周りの音なんて何ひとつ聞こえない。 なのに、綱吉の声だけが耳に、脳に響く。 「俺は、ハルが好きだから、一緒に逃げたし、追いかけてきたし、き、キスも、した、・・・んだ!」 キス、の言葉にさらに真っ赤に顔を染める。 そんな綱吉を、ただただ呆然として見ていた。 「ハルがダニエラに血がつながってるとか、ダニエラの生まれ変わりだとか、そんなの、関係ない。・・・っていうか、俺は、ダニエラなんて人知らないし」 じわりと、肩に触れている綱吉の手が汗ばんでいるのを感じた。 逸らされない瞳は真っ直ぐで、嘘だなんてそんな否定の言葉さえもかき消されてしまいそうで。 本当に。 「俺は、ハルが、ハルだから・・・好きなんだ!」 まるで数学の証明のように仮定を絶対的事実のように叫んだ綱吉に、ハルの瞳からまた涙が零れおちた。 「は、ハルも・・・ハルもツナさんが大好きですぅうう!!!」 思いっきり綱吉に飛び込んで倒れ込んだ綱吉がイテ、と小さくこぼしていたけれど、そんなの無視して強く強く抱きついた。 |