「ちょっと、飾りが足りないんだけど」
「あぁ?ピッタリ渡しただろうが・・・ってなんだその付け方はぁああ!!」
円を描くようにつけられるはずの飾りは何やら漢字をかたどっていて。
いや、間違えるはずもない。
それは、『並盛』という文字を作ろうとしていた。
「ちゃんと資料渡しただろうがっ!それの通りにやりやがれ!」
「雲を縛るものなんて存在しないよ」
「開き直ってるだけじゃねぇかっ!!!」

ぎゃんぎゃんと言いあう(隼人が一方的に怒鳴っているだけなのだが)光景を横目で見つつ、武が目の前にならぶ料理に、ん、と満足そうに頷いた。
久しぶりの寿司だが、上手く出来ただろう。
「なぁ、ちょっと味見してくれねぇか?」
「ん?・・・いいんじゃねぇのか?相変わらずお前の寿司はうまいと思うぞ」
「はは。さんきゅーなのな!」
男に称賛することがあまりないリボーンの貴重な一言に、武がにかっと頬笑みを浮かべた。


「そういえば、そろそろ時間なのな」
「ったく・・・もう直す時間ねぇじゃねぇか」
先ほどまで恭弥の造花で作り出す並盛、という文字は、余っていた飾りを使ってやっぱり並盛、になるらしい。

「あれはあれで極限いいではないか!懐かしいしな!」
「懐かしいとか、そういう問題ではないような気がするんですけどね」
にっかりと告げる了平の言葉に、骸は困ったように溜息を吐いた。

「そろそろクロームとランボがツナとハルを連れてくるのなー」
「よし、お前ら位置につけ!」
武の言葉と隼人の指示に、それぞれが散り散りになる。


「おい、骸」
隣に並んだリボーンに声をかけられて、骸がすいっと視線だけを動かす。
「なんですか?」
「俺には超直感はないが、やけに嫌な予感がする」
「・・・同感ですね」
眉間に皺を寄せたリボーンに、骸がこくりと頷いた。

それは多分きっと、誰もが抱いている予感だった。



「大変ですっ!ボンゴレが控室にいないんですぅう!!」
「ハルも、よ」


「・・・またか」

飛び込んできてそう告げるランボとクロームの言葉に、リボーンは深く溜息を吐いた。





凛と鳴り響いたのは



( 愛の日を告げる幸せの鐘 )