十年後に突然飛ばされて、敵と戦って、何とか現在に戻ってこれて。
どんどんとボンゴレ十代目になっていく俺は、無駄に足がいてみせてみたりするけど、意味はあんまりない。
この先の未来、俺はボンゴレ十代目になっちゃうのかなーって思ったり。


「まだそんなこと言ってんのか、ダメツナ」

と、ぐでんと机に寝そべった俺の頭を蹴ったのは、愛らしい赤ん坊の姿をしながらイタリアのヒットマンだったりする俺の家庭教師。
それで、頭の下にあるのがリボーンが用意したイタリア語を覚えるための課題。

「だってさー、俺は平凡で普通の暮らしがしたかったんだよ」
「今更不可能だがな」
「わかってるよ!」

リング戦で確実に俺のボンゴレ十代目の就任が決定してることはしってる。
歴代のボス達にもあっちゃったし。十代目になっちゃうんだろうなーとは思ってるんだよ、俺も。

「なら構わねぇじゃねぇか」
「だから、人の思考勝手に読むなよ」
読心術とかやめてくれないかな、マジで。


「だけどさ、マフィアになったら人殺しとかしなくちゃいけないだろ?」
「・・・」
「・・・正直、怖いよ」

みんなを護るためにマフィアになるべきだってことは分かってる。
けど、ずっと殺す殺されるなんてことニュースの中の話だってくらいの程度だったのに、それが日常になる世界に行くなんてさ。


「怖い」

でも、俺がボンゴレ十代目にならないとダメなんだ。


「・・・ツナ」
「ん?」
ポフポフとリボーンが頭を撫でてくれるのが気持ちよくて目を閉じてると、突然リボーンが話しかけてきた。


「お前、京子が好きか?」
「んなーーーーーっ!!!!」

な、ななななななななな!!
「な、何だよ突然っ!!い、今更っ!」
あー、今絶対顔熱い・・・。

「何でお前は京子が好きなんだ?」
「え?何でって・・・優しくて可愛いし・・・」


そう言うと、リボーンがじゃあと指を一本立てた。
「ハルのことはどう思う?」
「・・・ハル?えっと、ちょっと体当たりな子だよなーとは思う。騒がしいし、強引だし。まぁ、それがハルらしいって言えばハルらしいんだけどさ・・・」
思わず乾いた笑いが浮かんだ。いや、良い子なんだけどさ・・・。

「獄寺君と言い合いするし、物事プラスに考えまくりだし・・・気が抜けるよなぁ」
なんかハルといるときって、気取るこっちが馬鹿じゃないのかと思わせるくらいに気が抜けるんだよな。
楽って言えば楽なんだけど。

そう考えていると、リボーンがひょいっと窓枠に乗った。


「じゃ、ツナ。俺はちょっとイタリアに行ってくるから、この課題クリアしておけよ」
ドンっと渡されたのはイタリア語の問題集十冊。・・・わお(あ、マネしちゃった)。

「え、ちょ、無理に決まって・・・って、リボーン!」
俺が叫んでいるうちに、リボーンはさっさと行ってしまった。





君を語るには足りない



( ひとつの形容詞じゃ表しきれない子 )