恭弥の手伝いという名のパシりをさせられた後、ハルは河原に一人座り込んだ。 まだ綱吉の家に行くには十分な時間があったけれど、あの後京子とどうなったのか言われるのが怖かった。 駄目、ですね。 「こんなハルに、ツナさんを振り向かせることなんてできるんでしょうか・・・」 はぁ、とため息を吐いた。 「できるできないじゃねぇ、振り向かせるんだぞ」 突然、独り言に返ってきた返事に、ハルはぱっと振り返った。 そこにはリボーンが居た。 「リボーンちゃん!」 「チャオ、ハル」 スチャっと手をあげるリボーンは近づいてきて、ハルの隣に座る。 「俺はお前を応援しているんだぞ。ボンゴレ十代目の妻になりたかったら、死ぬ気で頑張るしかねぇ」 そうですよね、とハルがぎゅっと膝を抱いた。 それでも、綱吉の京子が来た時の笑顔が頭から離れなかった。ツナさん、ハルにはあんな顔で笑ってくれたことないのに。 「そういえば、ひとつ質問してもいいですか?」 「なんだ?」 ふと疑問に思っていたことを口にすると、リボーンが不思議そうにこちらを見てくる。 「あの、リボーンちゃんは何でハルを応援してくれるんですか?」 だって、おかしい。リボーンは綱吉の家庭教師で、恋路を応援すべきなのは綱吉の恋路のはずなのに。 何で、ハルを。 「・・・正直、ハルはツナさんに好かれてるかどうか微妙ですし・・・この前はまた怒られてしまいましたし・・・」 言うのも情けないですけど。 うぅっと呻くハルに構うことなく、リボーンは遠くを見ながらつぶやいた。 「さぁな」 「さ、さぁなってリボーンちゃんっ!」 声を上げた瞬間、リボーンがひらりと飛んで近くの壁の上にあがる。 「じゃ、俺はさっさと帰るぞ。俺がここに来たのはツナに言うんじゃねぇぞ」 そう言ってリボーンの姿が消えて数秒後。 「ハル!」 「はひっ!・・・ツ、ツナさん・・・?」 突然大声で呼ばれて振り返ると、そこには息を切らせた綱吉がいた。 「もー、どこ行ってたんだよ。探したんだぞ?母さんなんてハルが見つかるまで夕食は無しなんて言うし」 「・・・あの、ツナさん・・・」 「ん?」 ふぅと大きく息を吸って吐いて、ようやく呼吸を落ち着かせた綱吉に、ハルは恐る恐る聞いた。 「あの、ランボちゃんがいないならまだしも、ハルがいなくて夕食が食べれないという事実がおかしいことに気付いてください・・・」 「へ?・・・あっ!」 きょとんと眼を見開いて、それからやっと気づいたような顔をした。 「あーもうっ!ハルがうちに来すぎだからだよっ!・・・もう、ほら、行くよ!」 照れたように手を差し出す綱吉に、思わずハルは蕩けるように笑んだ。 「はい、ツナさん」 もう少し、頑張ろう。 |