「そう・・・だな」 あえて彼女に拘る理由。 それはしっかりとリボーンの中にあるのだけれど、それを言うのは若干憚られた。 何となく、それをひけらかしてしまうのは惜しい気がした。 「ツナとハルが結婚すれば、すぐにわかるぞ」 「リボーン!」 けれど、やっぱりそれでは彼らは納得しなくて、数人が苛立ったように立ちあがった。 それにリボーンはため息を吐く。 説明するのは惜しい気がした、というよりも、彼女のあれは実際に傍から少し離れたところにいなくては、その価値はわからないだろう。 いくら言葉を尽しても、到底形として語れるものではないのだから。 きっと傍にいすぎてもわからないだろうけれど。 「ひとつ、聞きたいことがある」 だから、リボーンは問をだした。 ここにいるのはボンゴレに方向性は違えど忠誠を誓うものばかりだ。 そうして、この問の後ならば、きっとわかる。 「ドン・ボンゴレとは何だ?・・・いや、むしろ、どうあるべきだ?」 抽象的なもので構わない。 ざわりと揺れた彼らに、リボーンはニヤリと口端を吊り上げた。 これだけの人数がいればそれぞれの答えが出て、そうしていろいろと議論した結果、ひとつの答えにたどりつくだろう。 その答えの先はもう、わかっていた。 最初ハルを、ツナを好きになるようにさせたのは、ツナに好かれることで自信を持たせたかったからだ。 獄寺の尊敬に関しては理解できなかっただろうが、ハルの純粋な好意なら理解するしないは置いといても、それを感じるだろう。 誰かに好かれているということ、しかも無償の愛をくれる母親ではない、他人に。 それは人を強くする。 ハルはハルなりにやりたいことをしっかりと持っていた少女だったし、下手に依存的な女ではないだろうと調査済みだった。 まぁ、予想以上にツナがニブツナだったけどな・・・。 最初はそんな程度だった。 大量の意見がでて議論する彼らの言葉が、だんだんひとつに向かっているのが聞こえて、リボーンはため息を吐いた。 ドン・ボンゴレがどうあるべきか。 その答えは非常に簡単で、誰もが共通して思うことだ。 その答えを踏まえた上で、思う。 例えば、笹川京子をツナの嫁に推したならば。 同じように反対の言葉が飛び出して・・・いや、それはクリアするとして。 ツナは大反対するだろう。それも、すべてクリアして、京子がツナの嫁になったとしたら。 京子は自分の出来るすべてを使ってツナを支えるだろう。ツナの横に立ち、しっかりと前を見据えて、ツナを支えるだろう。 ただ、それだと共倒れしてしまいそうで怖い。 共倒れして、「こけちゃったね」なんて笑って済ませられるような次元ではないのだ。 一緒に闇に倒れて、立ち上がれなくなったら・・・それを思うと、ひどく怖い。 別にハルなら大丈夫というわけじゃない、こけないと心配していないわけじゃない、こけてもいいわけじゃない。 ただ、きっと彼女の立ち位置は違う。 「・・・そろそろ、か」 だんだんと終結し始めた彼らの声に、リボーンは瞳を開いた。 |