「で、答えは出たのか?てめぇら」 リボーンは彼らを一望した。 頷く彼らに、どうやら答えは出たようだと、一人に答えを促すように顎でしゃくる。 するとその指名された一人がおどおどと立ち上がった。 「我々が出した結論は、ただ一つ」 ドン・ボンゴレは。 「我々の崇拝対象であり、大空であり、そして指針となるべき人物だ」 その通り。 最終的に結論づいた言葉に、リボーンはにやりと笑った。 「リボーン、この問が三浦ハルをボンゴレ夫人に推す理由だとは思えないのですが」 「そう答えを急くな」 目の前の彼らは、そうとう長い間ボンゴレに尽くしてきた。 こいつらを折れさせるのは面倒かもしれない、とリボーンは苦笑して腹をくくる。 こうなったら意地もある。 「確かに、ドン・ボンゴレはみんなの指針でなくてはならない」 居住まいを正してから、それから一望して話し始めた。 ドン・ボンゴレはいつであろうとも、ドン・ボンゴレでいなくてはならない。 部下にとって憧れの対象であり、崇拝の対象であり、大空であり、指針であるのだから。 道を指し示し、引っ張っていく人物でなくては、意味がない。 「ただ、そのドン・ボンゴレになるのはあのダメツナだ」 今までマフィアなんてこととは関係なく生きていて、ダメツナで、不器用で、普通の少年だ。 大分成長してきたかのようには見えるが、それでも時にポロリと零す愚痴は弱弱しさを感じさせる。 「・・・頼られるのが苦痛に感じたって、おかしくねぇ」 頼られるというのは、確かに今まで頼られていなかった人物にしては嬉しいことかもしれない。 ただ、それも度を越せば苦痛となる。 「判断を委ねられることを重圧に感じたって、おかしくねぇ」 自分に自信のないやつだから、尚更。 胸を張り、しっかりと前を見れば、ダメツナと呼ぶやつなんてすぐにいなくなるのに。 あいつはダメじゃなくて自分に自信がないせいだということを、とことん理解していない。 口に出して言うことはないが、それほどに今のツナを評価していのに。 「しかし、ボンゴレ十代目になる以上、それは当然のことでしょう?」 一人が戸惑ったように口にする。 ああ、そうだ。ボンゴレ十代目になるということは、いつだって最後には「お前が決めろ」と判断を委ねられる。 自分に自信のねぇやつが、期待の目で見られて、重く感じないはずもない。 この答えでいいのかと、ボスが迷ってはダメなんだ。 「そう、だからハルを婚約者にする」 さっきから言っていることにとりとめがない気がしたが、気にしなかった。 これは理論づけて言葉にすることではないからだ。 理論などという小難しいものはいらなかった。 だって、あの少女はあんなにも感覚で生きている。 不思議な顔をする彼らを見て、リボーンはくっと笑った。 答えは、ひどく単純だ。 「引っ張ることしかない手を、引っ張ってやる人間がいるだろう?」 |