「ほら、見てくださいツナさん!花が咲いたんですよ!」 夕食後、修行を少し休みにするといってラル達とこもってしまったリボーン達に言われて適当に時間を過ごしていると、突然ハルに引っ張って連れてこられた。 そうしてそこは屋内にある畑で、いつの間にやら種が埋まっていたらしい花が咲いたとハルが嬉しそうに語る。 「へぇ・・・すごいな」 それはどれくらいの種がいつの間に植えられたんだというくらいに咲き誇っていて、思わずため息をついた。 雑草もないから、きっとハル達が世話をしていたのだろう。 「それでですね!あっちに、ひゃっ!」 「ハルっ!」 ただでさえ畑の土は柔らかいというのに走り出したせいで、ずるりとハルの体が倒れかけた。 それを急いで支えて、ふぅと綱吉はため息をついた。 「はひっ!ツナさん、ありがとうございますー!」 「あーもう、危ないだろ、ハル!」 「大丈夫ですよ!ツナさんが助けてくれますから!」 そういう問題じゃないんだけどな・・・と綱吉はため息をついた。 何故か十年後に来てからというものの、ハルは頻繁にその言葉を言っているような気がする。そういえば、十年後のハルもそう言ってた。 「さ!レッツラゴーですよ、ツナさん」 「ちょ」 ボンヤリとしているスキをついたかのように手を握られて、ハルが引っ張り始める。 ああもう、強引すぎるだろ、ハル! 改めてこうやってハルと一緒にいるとなると、なんだか意識してしまって、その手の柔らかさにドキリとした。 そういえば、ハルも女の子なんだっけ・・・。 「ハ、ハル・・・せめて手を離さない・・・?」 そう思い始めるとなんだかいたたまれない気持ちになって、綱吉はそっと手から視線をそらした。 「はひ?どうしてですか?」 「ほ、ほらっ!こけたら危ないし!」 ね?と綱吉はもっともらしい理由を並べてみた。 それなら離しても自然だよな? 「大丈夫ですよ、ツナさん!ツナさんがこけたら、ハルが引っ張ってあげますから!」 俺のことじゃないんだけど、なんてツッコミは言葉にならなかった。 それよりもストンと落ちてきた何かに、心の中がいっぱいになって、泣きそうになった。 何故だか、わからなかったけれど。 「それに、ハルは大丈夫ですもん!」 自信満々に土を踏みしめるハルに、綱吉はえ?と首をかしげた。 蕩けるように笑って、疑うことなく胸を張る。 「だって、ツナさんが助けにきてくれますから!」 本当に、どうしてそんなに強いのかな・・・。 「ツ、ツナさん?どうしたんですか?どこか痛いんですか?」 滲む視線の向こうで、ハルが心配そうにしているのが見えた。 「・・・ハル、本当に・・・」 「はひ?」 「本当に、こけたら引っ張ってくれる?」 震える声で絞り出すと、ハルはより一層笑って頷いた。 |