お久しぶりです、ツナさん。
高校卒業後、ツナさんがイタリアに渡ってから早2年。


ツナさんのいるイタリアで・・・ハルはツナさんじゃない人と結婚します。




「――どうして、ハルを置いて行くんですか!」
高校は念願の同じ並盛高校に入れて、結局いつものメンバーは三年間一緒のクラスでしたね。

「俺は、ハルを巻き込みたくないんだ」
苦しそうな顔をしているツナさんに、ハルはそんな顔をさせたくなったけど隣にいたかったから、また反論しました。
「それでもハルは傍にいたいんです!」


第一、巻き込みたくないなんて、もう遅かったんですよ、ツナさん。
確かに京子ちゃんはマフィアのこと全然しらないから巻き込めないと思っていたのも分かっていました。

でも、ハルはマフィアのこと知ってたんですよ?


「お願いです、ツナさん!」

ハル、ツナさんが京子ちゃんを好きでも良かったんです。
ツナさんが大好きで大好きで、離れたくなんてなくて力になりたくて、ただそれだけだったんですよ。

ツナさんは京子ちゃんみたいに何も言わずに笑って見送ってくれる素直な子が好みなのかもしれません。
でも、ハルはそんな風にはなれなかったんです。


「――ツナさん!」
「ごめん・・・ごめんな、ハル。本当に危険なんだ。ハルを失いたくなんてないんだ。な?ハル」
優しく言ってくれたけど、ハルは納得できませんでした。
危険なところなら尚更ついていきたかったんです。

でも、肩を掴んだ手が震えていて、ハルは何にも言えなくなってしまったんです。
「ハル、ごめん」
そのまま引き寄せられて、中学生の時橋から落ちたときみたいに強くじゃなくて、ものすごく優しく抱きしめてくれましたね。
最後だからあんなに優しく抱きしめてくれたんだと思うと、ものすごく哀しかったです。



「それじゃあ、行くね、ハル」
後ろを向いて歩き出したツナさんに、あの時ハルは叫びました。



「絶対に――置いていったこと後悔させてやるんですから!」



若さって凄いです・・・。




ハルの結婚相手はツナさんとは全然違う人です。
髪は真っ黒で、背は高くて、スポーツマンで、年上で、頭良くて。

出会いはお見合いでした。
お父さんの知り合いで、助教授です。

貞操観念が厳しい人で、結婚まで手を繋いだだけです。


ツナさんとは全然違う人です。



ツナさんがイタリアに渡って、早2年ですね。
そっちの生活にはなれましたか?言葉は困ってませんか?怪我してませんか?哀しんでませんか?

ツナさん、ハルは20歳になりました。ツナさんも、もう20歳になってますよね。

未だに自分をハルって呼ぶ癖は直ってませんけど、向こうの家族の方は可愛らしいって言ってくれます。
結婚相手の人も可愛いって言ってくれます。
ツナさんとは違って、あんまりシャイじゃない人みたいです。

とっても優しい人で、家族の方とも仲良くなれたので不安はありません。



ツナさん――。

ハルは、ツナさんのいるイタリアで結婚します。





あなたのいる場所で



( 決別をしないと一生あなたのことを引きずって生きてしまうと思ったんです )