大きくてキレイな扉の前で、隣のお父さんの腕を組みました。 扉が開いて、真っ直ぐに伸びた道。 向こうにはハルの結婚相手がこっちを向いて待っています。 神父さんも笑顔で立っていて、参列の人々も笑顔でハルを迎えてくれています。 でも、ちょっとどころかかなり失礼ですけど、新郎がツナさんだったらなぁって思ってしまいました。 ダメ!だめです!こんなんじゃだめなんです! とっても優しい人だから絶対幸せになれるんです。 「・・・ハル」 お父さんがハルの名前を呼んで、鳴り始めた音楽に合わせて歩き出しました。 ツナさん、ハルは今結婚するんです。 危ないことも、おかしなことも、全然ないんですよ。 マフィアなんて一切関係ないし、突然爆発なんて起こらないし、物が真っ二つになることもないし、幻覚も無いし、銃声なんて聞こえないし、平平凡凡に暮らしていくんです。 明日もいつもの毎日がある平凡を過ごしていくんです。 ようやく新郎のところに着いて、隣に立ちました。 ツナさん、これから誓いの言葉です。 中学生の時、ずっと一緒にいますってこっそり一人で誓いましたけど、今度は別の人に誓うんです。 ツナさんに、全然似てない人です。 「新郎―――」 神父さんが誓いの言葉を言い始めました。 最初は新郎からです。 ツナさんとは違って男らしく低い声で言いました。 誓いますって。ツナさんとは違って、とてもハッキリした人ですよ。 ツナさんとは違う目でツナさんとは違う耳の形で、全然共通点すら見当たらない人です。 ――――『ハル』 ツナさん、ハルが恋に落ちたのは突然ですけど、でも本気だったんです。 いつだってあんまり信じてくれませんでしたよね。 でも、本当に本気だったんですよ。 じゃなきゃ、あんな崖の上からロープ一本で降りたりできるわけないじゃないですか。 あの時ツナさんが修行してるって聞いて、急いで走りだしました。 何とかしてツナさんの力になりたかったんです。 あの時差し入れしたお弁当、ちゃんと食べてくれましたか? 「新婦、三浦ハルは・・・」 高校受験の時、一緒に夜遅くまで勉強して、ツナさん送ってくれましたよね。 いいって言うハルに、頑なに送るって言って、なんだか夜中にデートしてる気分でした。 星もきれいで、本当にロマンチックでした。 卒業式には並中の方が先に終わったからって、皆さんと一緒に迎えに来てくれましたね。 第二ボタンを獄寺さんと取り合いましたよね(あれは女の子の特権なんですよ、本当にもう!)。 結局ゲットできた第二ボタンは家の引き出しの箱の中に入っています。 「病める時も、健やかなる時も、コレを愛し、コレを敬い、コレを支え、コレと共にあることを」 ツナさん、ツナさん、ツナさん。 たった二文字を言えば、ツナさんとはさよならです。 「――誓いますか?」 |