「誓いますか?」 神父さんの声がした。 ツナさんの声はもっと高くて、身長だってもうすこし低くて・・・。 「――いいえ!」 何で2年もたつのに、こんなにくっきり頭の中で浮かんでるんですか!? ツナさんの馬鹿! 未だにハルの頭の中はツナさんで一杯じゃないですか!(責任とってくださいよ!) 「ごめんなさい!貴方はいい人です、やさしい人です!でもハルは悪い人だろうと優しくなかろうと構わないくらい、大好きな人がいるんです!」 ごめんなさい! 凄く優しい人なのに、貴方を好きになれなくてごめんなさい。 マフィアの頂点に立ったりして、日本には滅多に帰ってこない親不孝で、ハルを置いていった酷い人で、でもとても優しい人で。 不器用で頭だってそんに良くなくてスポーツだって出来なくて・・・でも仲間を護るためには死ぬ気で頑張れる人。 ごめんなさい、ごめんなさい! ハル、ツナさんが好きなんです。 「きっとあなたならもっといい人と結婚できます。こんな不誠実なハルよりも、もっともっとたくさんいい人がいます。そんな素敵な人と絶対に巡り会えます。巡り会えるようにずっと祈ってます!」 何度も何度も頭を下げて、神父さんにも頭を下げた。 何もない平平凡凡な毎日よりも、危険な場所でも大好きなツナさんの傍にいたいんです。 どれだけ誰と会話していても、ツナさんのことが頭から一つだって消えてくれないんです! ゲームが大好きな不健康生活ばっかりで、小さいころは巨大ロボになりたいなんて思ってて――京子ちゃんのことが好きな、ツナさんがいいんです。 ハルが傍にいたいのは、ツナさんなんです。 「ごめんなさい!」 思いっきりドレスのスカートを掴んで走り出しました。 みんなの驚いた顔とか、お父さんのビックリした顔とか、たくさんたくさんの中を走り抜けて。 あのゆっくり歩いてきた真っ直ぐの道を、今度は一人で走り抜けて。 ドレスってこんなにも重たいんですね、走るのには全然向かない服ですね。 思いっきり外に飛び出した。 ツナさん。 ハルの結婚相手は優しくて誠実で背が高くて頭が良くて運動が出来て、ツナさんとは全然似てない人です。 顔だって凄く格好良くて、お友達には最高の相手だって言われました。 でも、ツナさん。 ハルは勉強が出来なくて背もあんまり高くなくて本当は逃げ出したくて運動が出来なくて、でも優しいツナさんがいいんです。 顔が格好よくないって言われても、世界中の人々に最悪な相手だって言われても。 ハルはツナさんがいいんです。 ウェディングドレスで走ってるからものすごく注目されたけど、そんなの気にせずに走りました。 そういえば、ハルはツナさんがどこにいるかなんて知りません。 だから、ハルの勘のまま突っ走りました。 「ツナさん・・・!」 ハルは貴方の傍に居たいんです。 ツナさんがどんな人だって、どんなにこの2年間で変わっていたって。 ハルはツナさんがいいんです。 |