「え?」 その言葉の意味が分らなかった。 「このままじゃ、このままじゃハルちゃんはっ!ハルちゃんは・・・!」 コツン。 そう京子が叫ぼうとした瞬間扉を叩く音が聞こえた。 「リ、ボーン・・・」 「ツナ・・・ハルが目覚めたぞ」 京子の方を振り返ると、京子は唇をかみしめて俯いていた。 とりあえず、会わなくちゃ。会いたい、ハルに。 そう思ってリボーンに会いに行くことを告げて、綱吉は入口に向かった。 「・・・このままじゃ、ハルちゃんは誰かを庇って死んじゃう・・・!」 後を追うような京子の叫びが酷く印象に残った。 ゆるりと目がさまよって、やがて綱吉で止まった。 「・・・ツナ、さん?」 「ハル・・・良かった。気持ち悪かったりしない?」 「はい・・・。あの、京子ちゃん、は?」 心配気な顔をするハルに綱吉には優しく笑みを浮かべた。 「大丈夫。少しも怪我してないよ」 「そうですか・・・」 ほぅっと安心したようにハルがため息を吐いた。 「そうですか、じゃないよ。俺心臓が止まるかと思ったんだからな」 「はひ・・・」 ハルが階段から落ちたって聞いた瞬間、心臓を思いっきり締め付けられた気分になった。 怖くて怖くて仕方がなくなった。 本当に、本当に心配したんだからな。 「もう、あんな無茶するなよ?」 「ツナさんは心配性ですね」 心配しすぎだっていいと思う。それくらいの、世界なんだから。 寝そべったままのハルは綱吉を見ているようで、綱吉を見ていないようで、ぼんやりとした目をしていた。 それが怖くて。 「は、ハルっ!!」 「はひ?」 叫ぶとその虚ろな目は綱吉を向いた。 「しっかり、寝て、し、っかり休んで、無理、しない、で」 駄目だ。動揺を表に出すな。 ハルは全然おかしくなんてなってない。全然変になってたりなんてしない。全然変わってたりなんてしない。 猪突猛進なのは前からじゃないか。一直線で人の話を聞かなくて誰よりも相手を思っているのは昔からじゃないか。 ―――「・・・このままじゃ、ハルちゃんは誰かを庇って死んじゃう・・・!」 違う!そんなことない!そんなこと、俺がさせない! 後ろから突き刺さるようなリボーンの視線にもこたえる余裕なんてなかった。 ハルは、俺が護る。だから、京子ちゃんが心配するようなことなんて起こらないんだ。 「早く元気になって」 絶対に。 |