パーティは数十分滞りなく進んだ。 正直、それが違和感を覚えるくらいに、順調に進んでいた。 けれど、こっそりと近づいてきた骸から渡された片耳に隠れる小さな通信機からはそれぞれの報告が流れ込んできた。 『綱吉・・・北門近くに不審な奴らが2名。咬み殺していい?』 「もうちょっと待ってください、恭弥さん」 『ツナ、東側にも変な奴らがいるぜ』 「ん、引き続き監視よろしく。武」 『南門付近にも発見です、十代目』 「了解、隼人」 『西も、だわ。ボス』 「ありがとう、クローム」 次々と入ってくる報告を小声で受けて、綱吉はため息を吐いた。 囲まれてる、か。 多分幹部たちの実力を考えたらこの程度の敵なんてどうとでもなろうだろうけど。 俺が、頑張って撃墜してね!とかって言ったら、憎まれごと(隼人とかは別として)を言いながら頑張ってくれるんだろうなー。 可愛いよな、みんな。 ・・って、こういうこと言うから京子ちゃんにセンスが微妙って言われたのかな・・・。 いや、でも・・・。 綱吉が悶々と考えているうちに、時間が少しずつ過ぎていく。 「ツナさん、ドン・カルツォッネに動きは見えません」 それが最後の一つの引っ掛かり。 ドン・カルツォッネは正直あまり演技ができる人物じゃない。 何せ、ハルが俺の恋人だって言った時の動揺っぷりは嘘じゃないって超直感が告げる。 仕掛けたのがドン・カルツォッネなら、ちらりちらりとこちらを見るなり、何か意識をこちらに向けていてもいいはずだ。 なのに、その当人といえば酒を片手に、娘の肩に手をまわして楽しそうに談笑している。 こっちには一切気を向けているという感じはしない。 「ねぇ、ひとつ・・・いいかな」 『何』 ポツリと呟いた言葉に反応を返したのは恭弥だった。 それに続くように隼人や武も答える。 「ひょっとして主犯ってドン・カルツォッネじゃなくってさ・・・あの人巻き込まれてるだけだったりして」 祝賀会に俺とか呼んでるからさ、そこを狙われたとか。 『ですが、この警備の薄さは異常じゃありませんか?』 確かに、と肯定する返事が返ってきてその考えを取り消そうとした瞬間、今まで一言も発していなかったクロームが口を開いた。 『でも、今回の警備の指示はドン・カルツォッネ本人でしたらしいの・・・。だから、考えが回らなかった?』 多分可愛らしく小首をかしげているのだろうクロームが、さり気無くグサリと棘を刺した。 悲惨だ。 「まさか・・・とは思うけどさ。頭で考えると彼なんだけどさ・・・」 『超直感が反応しないわけ?』 恭弥の言葉に沈黙で答えた。 「あの、ツナさん・・・その意見がもし本当だったとして・・・だったら」 「うん、ハル」 |