『奴らが屋敷に向かって集中してるのは明らかだね』 うずうずと飛び出したい気持ちを抑えきれない声が聞こえて、綱吉は苦笑した。 まったくもって、恭弥さんは好戦的すぎると思う。 「恭弥さん、せめて動くまで待ってくださいよ?動かなきゃ取り押さえたって言い逃れされて逆にこっちに汚名をかせようとするんですから」 人を殺すのはいやだいやだと言っている俺も大分学習した。 何か行動を起こさなくちゃ、取り押さえることは不可能なんだ(なんか警察の気分だよなぁ・・・)。 『まぁ、それもすぐのことでしょう。君が暴れられる機会はすぐやってきますよ、恭弥』 うん、骸・・・それ煽ってるだけだからさっ!! 入口の方にいるニッコリと笑う骸を見て、思わず綱吉はため息を吐いた。 「ツナさん・・・大丈夫ですか?」 同じく耳にイヤホンを当てて会話を聞いていたハルが心配そうに首をかしげた。 あー・・・本当、ハルがいなかったら俺の胃はすぐに穴があきそうだよ・・・。 「とりあえず窓からは離れよう。あと、戦闘が始まったら敵から離れておくこと。わかった?」 「・・・はい」 ハルは綱吉の言葉にしぶしぶと頷いた。 本当はその言葉をあまり聞きたくなかったのだろうが、ハルには戦闘能力がないため仕方がない。 持っている銃はあくまでも護身用だ。 「大丈夫。安心して・・・ハルは俺が護るから」 「はい。・・・あ、あと他の方もちゃんと誘導しておかないとダメですよ?」 「・・・忘れてた」 ドン・カルツォッネが首謀だろうとそうじゃなかろうと、とりあえず巻き込んだ人たちは関係ないし。 まぁ、その辺の誘導はする前に戦闘が終わるか、誰かがちゃんと誘導してくれるだろう。 好戦的なみんなは兎も角、クロームとかはそのへん気づくだろうし。 『動き始めました』 そんな綱吉の思考を遮るかのような骸の声がして、張りつめたように緊張が走る。 ぎゅっと綱吉はハルの手を握って、顔を見合せて、そして手を離した。 『cinque』 ゆっくりとハルが綱吉の向いている方向から自然と離れていく。 『quattro』 すぅっと皆の息を吸う音がイヤホン越しに聞こえた。 ポケットに入れておいた武器を確認する。 『tre』 プツンと音がしてザワザワと会場が揺れた。 一際叫んでいる声に綱吉は思わずため息を吐いた。 『due』 やはりこの世界に生きるものだからなのか、その騒ぎはすぐに静まり、緊張が走る。 窓から差す月明かりが綱吉を照らした。 『uno』 馬鹿でかいガラスからその姿が見えた。 正直もっと隠密に行こうよ、敵さぁ・・・。 『zero』 窓ガラスが派手に音をたてて砕けた。 |