ボンゴレ十代目であり教え子である綱吉の提案に、リボーンは眉を寄せた。

「・・・どういうことだ?」

それは、普段の彼から考えれば到底ありえない提案で。
ギロリと睨むリボーンに、綱吉は眼を伏せた。

「どうもこうも・・・そのままの意味だよ」
「ハルを隔離・・・いや、幽閉するつもりか?」

綱吉の提案は、一時ハルを別室に住まわせて、普段の生活から離させようというものだった。
その提案をしたままの綱吉は眼を伏せたままで、目を合わせることがない。

「おい、ツナ―――」
「リボーンさん・・・」

苛立って声を上げようとした瞬間、隼人が気まずそうに止めた。

「俺も・・・十代目に賛成です」


その言葉にさらに苛立ったリボーンが忍ばせている銃をつかむ前に、続くように一人が手を挙げた。

「今回ばかりは、僕も同意させていただきます」
ヒラリと手を笑顔ながらも眉を寄せている骸の隣で、また手が挙がる。

「悪いね、赤ん坊」
そのいつもは無表情な顔が悲しげに揺れていて、さらに困惑に揺れた。

「・・・私も」
きゅっと下唇を噛み、クロームが手を挙げる。

そんな三人を見ていた武も。
「俺も、なのな」

六人の顔は一様に悲しみと戸惑いが宿っていて、リボーンはまた眉間に深く皺を刻んだ。



隼人は、綱吉に盲目的だ。
綱吉の決定したことならば、それがどんなことだろうと付いていくだろう。
それは非常に頼もしい部下で、ともすれば上司の間違いに気がつかない危険な部下でもあるのだけれど。

武も、出来るなら綱吉の賛成に従っていきたいという面があるが、それでもちゃんと良し悪しの区別はつく男だ。
ただ、それが友情の前に屈伏してしまうだけで。

隼人と武が賛成するのならばわかる。


けれど。



「雲雀!一体どういうことだ!?極限理由がわからんぞっ!?」
了平が恭弥に向かって叫んでいるが、まさにその6人以外の考えはそうだ。
「骸、ちゃんと説明してちょうだい」


隼人と武が賛成するだけならば、綱吉の考えならついていこうと考えているだけだと思うことができた。

けれど、それ以外の三人・・・。
特に、恭弥と骸が賛成しているというのならば、話は別だ。


「綱吉」


久しぶりにあだなではない呼び方をした。
それにざわついていた室内は一気に静まりかえり、誰もが綱吉を見る。

漸く綱吉がゆるりと顔を上げて、その泣き出しそうな顔にリボーンは内心舌打ちしたくなった。
ボンゴレ十代目が・・・何て顔してやがる。


涙を目いっぱい堪えている幼い子どものような顔をする教え子に、リボーンはできるだけ優しい声で聞いた。


「何が・・・あった?」





涙を必死に堪えていた



( じゃないと、泣きだして喚いて叫んでしまいそうだったから )