目を大きく見開いて支えを失ったようにガクリと崩れ落ちたハルの身体を支えて、了平はぐっと目に力を込める。 もう片方の腕の中で震えている京子が、信じられないといわんばかりに了平の服を強く握った。 「う、そでしょ・・・?」 だってそんなの信じられない。 けれど了平はそれに肯定も否定も返さないで、ただ寂しそうな視線をハルに向けていた。 そんなの、絶対嘘だ! 「お兄ちゃんっ!嘘なんでしょ!?ねぇ!!」 「・・・京子」 ポン、と優しく背中を叩かれて、はっと京子は了平を見上げた。 「外は危険だ」 「・・・お兄ちゃん・・・」 泣きそうに震える京子の背に手を添えたまま、ハルを抱き上げて歩き出す。 「・・・くっ・・・」 足元にいた敵の男が小さく唸るのを聞いて、了平がちらりとそちらに視線を向ける。 これ以上はタイムオーバーだ。 抱きかかえたハルにもう一度こっそりと口の中で謝ると、京子を連れて歩き出す。 隣に歩いている京子と抱えているハルは、3年という間で随分と成長したように思った。 綱吉がいたならば、きっと驚いていただろうと思う。 「・・・了平」 「クローム」 たどり着いた神社の一角で呼びとめられて、了平はその3年で癖のようになった思考の海から顔をあげた。 そこには同じく黒いスーツに身を纏ったクロームが待っている。 「クロームちゃん・・・」 「・・・久しぶり、京子」 京子の声にふわりと笑みを浮かべると、了平に抱きかかえられて気を失っているハルに眉を寄せた。 「・・・ハルは?」 「気を失っているだけだ・・・それよりも、入口はどこだ?」 「そう・・・。入口は、ここ」 了平の言葉に安心したように頷いて、クロームが道の先にある鳥居に向かって歩き出す。 それに了平も続くように歩きだして、ふと京子の肩を強く抱く。 「京子、離れるなよ」 「え?」 きょとん、と京子が了平を見上げた瞬間、了平達は大きな光に包まれた。 真っ白で、先の道すら見えない。 「な、何これ・・・っ!」 「晴れのリングの力だ・・・入口を誰に見られるとも分からないからな」 一つ、鳥居をくぐりぬけてまだ先へと歩き出す。 それから、もう一つ鳥居を潜り抜けた瞬間。 「何・・・ここ・・・」 目の前に広がる光景に、京子は呆然とあたりを見渡した。 何と言うか、まるでアニメに出てくる基地のようなつくりなのに、もっと向こうには和室のような空間が広がっている。 ・・・バランス悪い・・・。 「京子、ハル・・・ようこそ、ボンゴレ本部へ」 ゆるりと微笑んで、クロームは歓迎するように腕を広げた。 |