真っ暗な闇の海の中で、さっきの言葉だけが強く響いた。 ―――綱吉は、死んだ。 「嘘、です・・・そんなの」 絶対に嘘だ。 だってだって、綱吉に逢えたらあのたまりにたまって送れなかった手紙を押しつけてやろうって思っていたのに。 それで驚く綱吉に凄いでしょうと笑ってやる予定だったのに。 「嘘ですよぉっ・・・!」 ―――綱吉は、死んだ。 ガンガンと頭を叩くようにその言葉が何度も響く。 嘘だ、嘘、そんなことない、絶対にない、ありえない。 ありえないのに。 ―――綱吉は、死んだ。 「うるさいっ!」 真っ暗な闇の中で、どこから聞こえてくるのか分からない声に叫んだ。 わかってる!そんな世界で生きてる人だってことくらい! 中学の時に黒曜に行った時だって、大けがをして帰ってきて。 だけど、 「・・・だって、ツナさん・・・ですよ?そんなに、簡単に・・・」 ―――綱吉は、死んだ。 「嘘っ!嘘嘘嘘嘘、嘘ですよっ!!」 嘘なんでしょう!? だってそんなことない、絶対にない。 お願いだから、そんなことありえないでいて。 「つな、さん・・・」 真っ暗な闇の中で何度呼んでも返事は返ってこない。 口にした言葉すら響くことなく唇の前ですぐに拡散して消えていく。 なのに、さっきの言葉だけが闇に響いた。 ―――綱吉は、死んだ。 信じない。 例えそれが了平の言葉だったとしても、本当につらそうな顔をしていても、信じない。 絶対に絶対に信じないっ!! 「ツナさん・・・っ!」 いつだって助けにきてくれて、いつだって大丈夫だって笑ってくれて。 死んだなんて、嘘。 絶対に絶対に、嘘。 「たす、けて・・・」 大丈夫。 知っている。 絶対にツナさんが助けに来てくれるって、知っている。 「ツナ・・・さん」 真っ暗な闇の中で響く声を、否定するように頭を振った。 それで消えてくれないのは分かっているけど、でも負けたくない。 絶対に、信じない。 「・・・嘘、です・・・嘘・・・だから、大丈夫・・・です」 思わず震える体を抱きしめて、ゆっくりとどこから響いてくるのか分からない声を見上げる。 ―――綱吉は、死んだ。 「ツナさん・・・!!!」 |