「十代目の為に、この歌を捧げます!!聞いてください、十代目・・・!loop!!」
音楽に合わせて綱吉を見つめながら、綱吉に向かって歌う歌は、まさに獄寺隼人にぴったりと当てはまる曲だ。

「・・・というか、十代目っていう歌詞が混じってるんですが・・・」
「その辺は気にするな」

ありとあらゆる曲が入っているらしくて、勿論並盛校歌も当然のように入っている。
いつの間にやら隼人の曲は終わったらしくて、次にどこか韓国っぽいノリのある曲を恭弥が歌っていた。
サビの始めに彼の口癖である、某ワオ!が入っているのも気にしてはいけない。

「ねぇねぇ、ハルちゃん!一緒にFriend歌おうか!」
「はい!歌いましょう!」

勿論、まーけーないでどーんなーに、のあれだったりするのはご愛敬である。
というか、なぜその曲のラインナップがあるのかは、ボンゴレの企業秘密である。

「クフフ、それじゃあ次は僕ですね。・・・まーさかぼーくがこのてで、きみーにふれーるなーんてね」
「骸様・・・格好いい・・・」
胸の前で手を組んで頬を染めてクロームが歌う骸を見ていた。

何故この曲などのラインナップが入っているのかは、ボンゴレクオリティによる企業秘密であると、もう一度記載しておこう。



「はひ、ちょっとハルお手洗い行ってきますね」
「あ、俺も行きます!」
ちょっと苦笑しながら立ち上がると、近くにいたランボがほにゃりと笑みを浮かべて立ち上がった。

「はひ、じゃあ一緒に行きましょうか」
「はい!」


そう言って、二人で盛り上がっている部屋から静かな廊下へと出る。
防音はばっちりらしくて、外に出た瞬間カラオケの部屋の音は一切聞こえなくなった。

「・・・そういえば、ランボちゃんと一緒っていうのはここにきて初めてですね」
「あ、そういえばそうですね!二人ともボンゴレにつきっきりでしたし」

ボンゴレ、という言葉に綱吉のことだといきついて、内心で納得する。
そういえばランボはボヴィーノというファミリーの一員だった・・・。

「ランボちゃんずいぶん大きくなりましたよね。ハルの身長も抜かれちゃったみたいで」
「えへへ、俺成長期ですから!任務だって一人でさせてくれるようになったんですよ!」

えっへん、と胸を張るランボに笑みを浮かべる。

「任務って普通一人でするものなんですか?」
「えっと、時と場合によりますけど、基本一部隊ですね。俺にだって部下いるんですよ・・・・・・あ、でも一回守護者全員が同じ任務に出たことがありましたけど」
どこか思案するような顔でそう言うランボに、きょとんと首を傾げる。

「そんなに大変な任務だったんですか?」
「いえ、実はそんな難しい任務じゃなかったんですけど・・・あ、そうだ!なんか実験をしてたらしいです!」
俺詳しいことは教えてもらえなかったんですけど・・・としょんぼりするランボを宥める。

「実験、ですか?」
「俺もですけど、ボンゴレは特にそういうの許せない人ですし・・・でも、結構な人数の部下に逃げられちゃったんですけどね」

あ、でもファミリーのドンはちゃんと成敗しましたよ!
と得意気に笑うランボに笑顔を返したまま、うーん、と頭を悩ませる。


これは、あまり関係ないのだろうか。

「にげ、られた・・・」


どこか引っかかる状況に、隣にいるランボに聞こえないようにそっと呟いた。





あともう少し



( 何かが足りない、その何かさえ見つかれば )