バン、と思いっきり扉を蹴破った。 それに気配で気付いてはいたのだろうけど、そんな開け方をするとは一切思っていなかった面々がぽっかりと口を開ける。 その景色に、ハルはにんまりと満足げに笑みを浮かべた。 後ろでセオが気まずげに顔を青ざめた。 「は・・・ハル・・・?」 セオに負けず劣らず(とはいえ、別の理由でだけれど)真っ青な顔をした綱吉が、ハルの開け方よりも何よりもその肩や背にあるはずの存在の消失に目を見開いた。 太腿あたりまで至る鮮やかな黒髪は、肩よりも上でばっさりと切られていた。 そんな綱吉の視線に気がついて、ああ、とハルはちらりと髪を見て綱吉を見上げる。 「ハルの本気度を、表してみました」 えへ、と微笑むハルに呆気にとられて、それから恭弥がもう一つの問題について口を開く。 「それよりも・・・今、会議中なんだけど」 「っあ!!そうだよ、ハル!えっと、何かあった?何か、大変なことでも、起きた?」 超直感が働かないのは、ボンゴレだけじゃなくて綱吉自身にも不安があるらしい。 ハルが飛び込んでくるほどのことが察知できなかった、ということがさらに綱吉の顔を青ざめさせて、今は白に誓い。 「ええまあ、火急と言えば火急の用なのかもしれませんけど」 「・・・どういうことだ?つーか、十代目を煩わせるようなことだったら怒るぞ!」 そういうけれど、ハルが飛び込んでくることなんてよほどのことなのだろうと思っている隼人の顔も、どこか心配そうだった。 隼人の隣に座っていた骸は、ハルの向こう側にいるセオに視線を向ける。 「それよりも、僕は何故セオが一緒にいるのかが気になりますけどね」 とはいえハルのことも心配してくれているらしい骸は眉間に皺を寄せた。 「どうした?京子になんかあったのか?」 隼人の反対側に座っていた武は、ここに見えない京子に何かあったのではないかと心配そうな表情を浮かべた。 そんな武に、京子は何もなっていないと否定する。 「じゃあ、どうしたの・・・?何かあったの?」 ハルを見つめて不安気にクロームが言う。 「それと・・・極限気になることがあるんだが・・・」 眉を寄せた了平の視線は、ハルの顔よりもう少し下に一心に向いていた。 そんな了平の動揺と疑問と同じ気持ちを表すように、リボーンが言葉を続けた。 「その、胸のところに入ってるのは・・・」 リボーンが全てを言い切る前に、にっこりとハルはまるで14歳の少女のように無邪気な微笑みを浮かべた。 それから、“準備”をしてあったそれを胸の間から引き抜いて、天に向けると同時に引き金を引いた。 ガン、とまるで叩きつけるかのような重い音がしたと同時に、金属同士のぶつかりあう音がして、防弾がしてあることを確認した。 それから、黒光りする銃をゆっくりと降ろしながら、驚愕に彩られた顔をゆっくりと眺める。 「静かに・・・動くな」 身体が反応して服に手を入れていたリボーン達を見ながら、ハルはにっこりと笑う。 ゆっくりと、腕を降ろして、銃を手にお決まりの言葉を言った。 その銃を、自分の米神に当てたまま。 |