「・・・な、な・・・なにしてやが、」 る、と続けようとした隼人の方をくるっと向いて、未だ自分の米神に銃の先を向けたまま、ハルは微笑んだ。 「静かに。聞こえなかったですか?ハルは黙れ、手を挙げろ、動くなって言ったんですよ」 銃を持った人の一般的なセリフですよね、と微笑むと、隼人があっけに取られたように目を見開いた。 まぁ、その場合銃を持っている人は、目の前の相手に銃の先を向けているのが普通なのだろうけれど。 「ハル、何を、」 「はひ、聞こえませんでしたか?動くな、黙れ、ホールドアップですよ。ちなみにさっきので分かっていただけたと思いますけど、安全装置は外してあるので動いたら何が起きるかわかりませんよ」 ハルの言葉に、了平はただぱくぱくと口を動かすことしかできなかった。 そんな了平から視線を外して、綱吉達を視界に収める。 「まぁ、何でこうしてるのかあえて答えると、これが一番効果的だからですよ」 銃を向けると、取られちゃいますから。 戦う力では、天と地の差ほどに叶わないなんてことは分かっている。 それから、この距離でまず外れるということがないことくらい、知っている。 だから銃の先は自分に向けた。 「静かに、黙って聞いてくださいね」 白い顔をさらに真っ青に染め上げて、どうすればいいのかわからないような途方に暮れた顔をする綱吉を見る。 「・・・特に、ツナさんは聞いてるようで聞いてくれませんから・・・しっかり頭の中で吟味して聞いてくださいね」 気付いてしまった哀しい事実に、思わず泣きそうになる。 18歳の卒業したばかりの時だってそうだった。 泣いて一緒にいたいと縋るハルに、綱吉は日本にいてほしいと懇願した。 その時綱吉は、一緒にいたいというハルの願いを聞いているようで聞かずに、自分の願いを正当化した。 だから、今度は。 「それでは、これからハルの言葉を一つも聞き洩らさずに聞いてくださいね?よろしいですか、皆さん」 ハルの番だ。 戸惑いながらもハルの本気を感じたらしい彼等が頷くのを見て、ハルは満足げにほほ笑んだ。 唯一、綱吉だけがそのハルの手の銃を取り上げたそうに見ているけれど、そんな綱吉にも微笑みを返す。 怯んじゃいけない、躊躇っちゃいけない。 ここは今、ハルの戦場だ。 「それでは始めましょうか」 ああ、もう一度念のため繰り返しておきますね。 そうどこか隙を窺うような面々に向かって、ハルは可愛らしく小首をかしげた。 銃の先は、米神から外さないまま。 「動くな、黙れ、ホールドアップ。ハルは本気です。動いたら、引き金を引きます」 いいですね?と確認する。 それに綱吉が手を震わせながらも、ゆっくりと頷いたことを確認して、にんまりと微笑む。 「しっかりと聞いていてくださいね、皆さん」 すぅっと息を吸って、早く鼓動する心臓を落ち着かせる。 一人一人の顔を静かに見て、それから最後に綱吉の顔を見て。 全部の気持ちを込めて、微笑んだ。 「まず、敵の目的はボンゴレではありません」 |