結局あの後いい笑顔で敵をつるしあげた綱吉は、再びその座にふさわしい不適な笑みを浮かべるほどに回復した。 勿論食事を吐いたりしないし、眠りに落ちることもない。 とはいえ、綱吉は幹部全員公開の健康診断を月に一度行われることになったのだけれど。 (ちなみに、半裸になった綱吉が「いやーん、まいっ○んぐ」とポーズを決めた瞬間に、医務室が半壊しかけたのは良い思い出だ) 「・・・今、なんつった?」 突然の言葉に、リボーンはぴくぴくと米神に青筋を浮かべた。 そんなリボーンに綱吉は至極真面目な顔で返した。 「イタリアに本部戻そうかと思って」 「・・・俺は耳が遠くなったのか?そうなのか・・・?こんだけ費用さいて人員さいて、今更イタリアに戻るなんていわねぇよな、ああ言うわけがねぇ」 「イタリアに戻、」 パンっと小さな音がして、綱吉の頬をかすめるように銃弾が飛んだ。 当然の如く防弾加工されていた部屋は、傷痕をつけることもなくその銃弾を受け止めた。 「だって、九代目とかザンザスとかに、俺のお嫁さん紹介したいし」 ちなみに、事件解決後すぐに綱吉はハルと入籍した。 誰も止められる人物などいなかった。 (ちなみに、ハルの家へと許可を貰いに行ったら、あれ?入籍してなかったの?とハルの両親に言われたのは新しい記憶である) (ちなみに、ハルの家へと向かった際に手に入れた大量の手紙は、綱吉のコレクションとして大切に保管されている(一日ですべてを読みきった)) 綱吉とハルが結婚したことはいい。 むしろ引き離したときのリスクの方が大きいため、綱吉とハルの結婚はむしろ推奨する。 けれど、ハルと結婚した綱吉はまるで敵なんていないといわんばかりのぶてぶてしさを手に入れた気がする。 「それにさー、やっぱり日本よりイタリアの方が警備が万全だよね」 「ハルの安全最優先か・・・っ!!」 「当たり前じゃん!」 きっぱりと言い切る綱吉に、ぴくりとリボーンは青筋を揺らした。 顔を真っ青にして寝込んでいた時よりも良いと言えば良いのだが、これはこれで迷惑だ。 ああもう、どうしてくれようこのまぐろ。 「ねー、イタリア戻ろうよーリボーン。いーじゃんいーじゃん」 「っ・・・!!」 ああもう、この馬鹿はっ!! 堪え切れない怒りに、リボーンは身体を震わせた。 「そんなに警備が気になるなら、ヴァリアーだろうがなんだろうが日本に呼び寄せちまえ、馬鹿ツナっ!!」 「あ、それ名案」 うんうん、やっぱり日本の方が落ち付くしねー。 とぽやぽやと笑う綱吉の顔に拳を握りこんでやりたくなったのは、一度や二度ではない。 ああもう、本当にお前は数週間前の顔を青ざめてぐったりしていたあの綱吉と同一人物なのだろうかと思う。 というかもう、同一人物だと思いたくない。 「じゃ、そういうことでよろしくね、リボーン」 「・・・は?」 「だから、ヴァリアーに日本に来るようにってことと、あとイタリアの人員も結構引っ張ってきといて・・・あ、あと九代目もちゃんとイタリアまで迎えに行ってね」 ね、と綱吉がにこりとほほ笑んだ。 「リボーン、ほら、返事は?」 そう微笑む綱吉に、リボーンは苛立ちを隠さないまま思いっきり叫んだ。 その声は、日本本部全域に響き渡ったという(リボーンの声は防音の設備を超えた)。 |