何でこんなことになったんだろう。 今、俺の目の前には必死でマナーを勉強してるハルがいる。 一応弁解のために言っておくけど、ハルはマナーが悪いわけじゃないし、きちんとマナーが身についてる。 ・・・つまりは、どうやったら恋人のように見えるかのマナーの特訓中らしくて。 「いいですか?食事中は基本綱吉君に気を使ってください。綱吉君にはわざとソースを口につけておくように言いますから、それを誰かに言われる前に頬笑みながら拭うんです」 「はひ!了解です!」 「そうしたら、相手方に向かってすみませんと笑顔で謝るんです」 それによって完全に一線を画すらしい。 ・・・ハル熱心すぎない? いや、ハルは何か燃えてて一生懸命でいいんだけど、骸が俺の役をやってるのもいいんだけど。 近くないか?そこの二人。 「距離は今ぐらいがベストですね。食事以外では常に触れているのもありですね」 「触れる、ですか?」 ハル、身を乗り出すな。 「ええ。たとえば腕や膝の上の手。綱吉君の立場だと背中に手を当てるとかですかね」 実践するな、骸。 さっきより距離近いから、っていうか骸の手を握るなって言ってるだろ、ハル。 ・・・いや、言ってないか。 「ドレスはクロームにでも・・・いえ、クロームじゃなくて綱吉君の方がいいですね」 「はひ?どうしてですか?」 そうだよ、クロームに選んでもらえばいいのに。 っていうか、俺そういうの分からないし、上手く選べる自信もないけど。 「ああいう令嬢タイプは相手を綺麗だとほめることはしませんからね。嫌味といわんばかりにドレスを褒めてくるでしょう」 「そ、そういうものなんですか・・・」 「ドレスを褒められたら、綱吉君が選んだのだと微笑んで返してあげてください」 ハルからじゃ想像できないけど、女ってそういうところ怖いっていうもんなぁ・・・。 なんだろう、劣等感を刺激するってことなのかな。 「綱吉君が選んだドレスを着ている婚約者、ということで相手の劣等感を刺激するのは当然ですが、もう一つ意味があるんですよ」 「意味・・・ですか?」 意味? なんだろう。 「服を贈るというのは、共通の裏の意味がありまして。・・・つまりは、脱がせたい相手だと思っているという意味があるんですよ」 「・・・・・・・・・は・・・ひ・・・」 え・・・・・・・・・あ・・・・・、・・・!!! 「む、」 「え、エロですーーーーーーーーーーーーー!!!!」 ・・・あ、久し振りに聞いたかも、このセリフ・・・。 「・・・おい、ツナ」 「何?」 隣にいて一緒にマナー講座を見ているリボーンに、顔を向けないまま答える。 「いい加減、その骸たった一人に向かう溢れんばかりの殺気と笑顔をやめろ」 「・・・何が?」 「・・・無自覚か・・・」 |