許せなかった。 勿論十代目がお決めになったことに俺が逆らう権利は無いし、つもりもない。 けど、どうしても許すことが出来なかった。 そいつのことは嫌いじゃなかったし・・・まぁ、ウザいとは思っていたが。 その十代目への気持ちの深さは認めていたし、空港で出発の見送りに来たそいつは真っ赤な目をしていたくせに泣き出さなかった。 凄いと思った。 十代目への気持ちは本物だということは知っていたから。 一番泣いて行くのを止めたかったんだろう、あいつは絶対に泣かなかった。 最後まで笑っていたあいつに見送られ、俺達はイタリアにやってきた。 十代目は着任されたばかりだというのにキチンと仕事をこなされていたし、全員古参に舐められながらも実力を堂々と見せ付けてやったし。 まぁ、あの・・・あいつら、野球馬鹿とかボクシング馬鹿とか雲雀と骸もよくやったんじゃねぇのか・・・? 確かに十代目が哀しそうな顔をしていらっしゃったときもあったが、十代目はあいつらが日本にいるのを望んでいた。 なのに。 最初は目を疑った。 リボーンさんも骸も雲雀も当然のようにあいつを迎えていて、十代目もあいつがここに居ることを認めた。 ・・・もう一度言うが、俺は十代目の意向に逆らう気は一切ねぇ。 十代目がお決めになったことに俺は反論する権利はねぇし、それに従うだけだ。 その答えに俺はついていく。 だけど、認められねぇ。 銃だって大して上手くねぇし・・・いや、むしろ下手だし、戦う力なんて一切ねぇ。 この世界のことなんて少しもわかっちゃいねぇくせに! 平然と笑っていられるその神経がむかつくんだよっ! 山本だってマフィアごっこっていうことからちゃんと現実を分かるようになった。 笹川もちゃんとそういうことが分かってる。 なのに、あいつだけがあの高校時代から変わってない。 この世界の厳しさを一番分かってるリボーンさんも、戦うことを分かってる雲雀も骸も何も言いやしねぇ。 むしろ、逆にアイツを認めてる。 確かに十代目は前より本当の笑顔で笑うようになった。 今まで張り詰めていた顔が、安心したような笑顔で笑ってくれるようになった。 そうさせたのがあいつだってことも、むかつく。 無力なくせにここに来て、いつ死ぬかわかんねぇっつうのに、そのお気楽さがむかついた。 死んだら誰が一番悲しむのか、分かってんのかよっ!! 俺は十代目の意向には逆らわねぇ。 十代目があいつをここにおいておきたいっていうなら、俺は反論しない。 十代目があいつを護れっていうなら、俺は護る・・・まぁ、十代目優先だが。 だけど、絶対に認めてなんかやらない。 あいつが十代目の昔の笑顔にさせたとしても、だ! 絶対絶対に、認めてなんかやらねぇ!! あんな何も戦う力なんてないくせに自分に何かできると勘違いしてるような奴、認めてなんてやるかっ! たとえ俺以外の奴らが全員あいつを認めようとも。 「俺は、絶対認めないからな――――ハル」 |