その気持ちの名前に。 ―――とうとう、気付いてしまった。 「漸く、来たか」 「・・・はい」 神妙な顔をしたハルがほにゃりと顔を崩す。 馬鹿、今はまだ緊張をほぐすときじゃねぇよ・・・と言おうとしたけれど、別に周りに誰かいるわけじゃねぇ。 まぁいいか。 「本当に、ありがとうございました。リボーンちゃん」 「かまわねぇぞ。どっちにしろ銃はそんなに成長しなかったからな」 ハルに銃は向かない。 長時間の集中とは違い、一点・・・ただそれだけに集中を注ぎ込むことは中々ハルには不慣れらしい。 五割程度で結局銃にこれ以上成長は見られなかった。 ・・・まぁ、五割もあれば威嚇には大丈夫だろ。 「はひ・・・。せめてもうちょっとと思ったんですけど・・・」 「人には向き不向きがあるからな。気にすんな」 もしかしたらハルにはイーピンのように体術の方が合うのかもしれないとも思った。 体は身軽だし、突然十年後から来たランボを撃墜したコンボは見事だった。 あと、あのハルと京子を攫った敵にやり返した蹴りは中々いい筋をしていたと思う。 けど、ダメだ。 「ま、何をやっても銃が一番成績が良かったりしてな」 「ひ、酷いですよぉっ!」 体術で相手を封じ込めようと思ったら、一番簡単で一番最良な方法は骨を折ることだ。 たとえハルだとしても、体重をかければ角度によれば一発でいける。 けれど、その感触は決して気持ちの良いものじゃない。 何よりも、体術は敵と自分が接近しなくてはならない。 「危険っつーよりも、なんつーか」 「はい?」 「・・・何でもねぇ」 ムカツクだけだ。 薄々感づいてはいたが、ダメツナの変わり始めた心に気付いてからは無視をしていた。 無視を、していたつもりだった。 「じゃ、そろそろ行って来い。場所は、分かってるだろ?」 「はい!」 元気よくハルが頷く。震える。 本当に本当に嬉しそうにうれしそうに、蕩けるような笑顔で「行って来ます」と歩き出す。 薄々感づいてはいたけれど、決して叶うものじゃないから無視をしていた。 分かっていたのに、胸が痛んだ。 あー、くそっ!あの時ダメツナなんかに渡すんじゃないかった! 地団駄を踏んでももう遅い。 既にハルは誰よりも誰よりもツナのことを好きなのだから。 「・・・不毛、だな」 その気持ちは恋という名を持っていた。 |