その気持ちはとりあえず、大切に取っておいた。



が。勿論、身を引いて終わる俺じゃない。子どもの特権は、存分に使わせてもらう派だからな。


「ハル、今日一緒に風呂入るぞ」
ガタン、と俺の発言にツナが椅子から落ちる(へ、馬鹿め)。

「ちょ、な・・・何、いっ!」

ハルが秘書についてから漸くボスの貫禄が付いてきたツナだが、全くハルのことになると昔に元通りだな。
ま、それを狙ってやってるんだけどな。


「うわぁ!楽しみですねぇ・・・。頭洗ってあげますね!」

「ちょ、何言ってんだよ、ハル!ダメだ!そんなの絶対ダメ!」
こんだけうろたえてるっつーのに、気付かないのか、このニブツナめ。

が、さらに鈍いハルも気付くはずもなく首を傾げる。

「はひ?どうしてですか?」
「ど、どうしてって、リボーンだって男なんだよっ!」
「女の子だと思ったことはないですよ?」
「そーじゃなくてっ!!」

一人から周りだな、バカツナ。
ったく、子どもであろうと(ツナが俺を子どもと思ってるかは別として)男と一緒に風呂に入らせたくないっつーことくらい気付け、馬鹿。


「リボーンもっ!そういうこと言うなよなっ!!」
「口調が元に戻ってるぜ、ボ・ス☆」

「☆とかキャラじゃないこと言うなーーーー!!!!」



叫ぶツナは置いといて、ハルの手を引いて外に出る。
まぁ、流石に好きな女と全裸で一緒に居て何も出来ないっつー生殺しはキツいからな。

適当に理由を付けてダメにするか。
そう思っていると、ふとハルがしゃがむ。

大人数で居るときは兎も角、二人で居るときは目線をあわせて喋りたいというのがハルのモットーらしい。


「はひー、リボーンちゃんとお風呂なんて久しぶりです!」
「最近は忙しかったからな」

・・・そんなに嬉しそうな顔をされると断りづらいな・・・かといって、生殺しはキツいぞ・・・。


「ハル」


別に、何を思ったわけじゃなかった。
そんなに意識してないことがちょっと悔しかっただけだった。


「へっ?」

頬に口付けを落とした・・・ま、どーせ「どうしたんですか?」程度で終わるんだろうけ、



「へぁああああっ!?」


――――は?
想像していた姿とは違って、ハルは俺のキスした頬を押さえて後ずさりをし始めた。


「リ、リボ、リボーンちゃん!な、何なんですか、とつ、とつぜっ、ん!!」

物凄くかんでるぞ、ハル。


「・・・ただの挨拶だぞ。何意識してんだ?」

やばい、にやけそうだ。

「いし、っ、意識なんてしてませんよっ!あ、あう、うああん!リボーンちゃんの意地悪ぅ!!!」

そのままフラフラゴンゴンとゆれつつぶつかりつつ部屋に向かうハルに、俺は必死で口を押さえた。
じゃないと、笑ってしまいそうだった(というか、手の下では多分笑っちまってるな)。

「勝負は、まだ終わってません・・・ってか?」





彼女は本当に変わってない?



( いやいや、じゃなきゃあの赤い顔は説明なんてつかねぇぜ? )