痛いほどの沈黙が漂った・・・後。 「・・・やっぱり、君馬鹿じゃないの?」 溜息と共に吐かれた言葉にハルは唇を噛んで俯いた。 「全く、綱吉君の心労が増えますね」 「――――え?」 パっとハルは顔を上げた。 その顔には刺すような鋭さも、声の孕む拒絶も見当たらなくて。 いや、むしろどこか・・・。 「とりあえず銃とか使えないと・・・すぐにお陀仏だよ?」 「そこは彼への愛で頑張っていただくということで」 「「骸・・・オメー(君)が愛って言うと、一番うさんくさい」」 和気藹藹と話を進める3人に、ハルは目を瞬いた。 「へ?あの・・・一体どういうことに・・・」 なってるんでしょうか。その言葉を続けるほど気力は無かった。 そんなハルに恭弥は呆れたように溜息を吐いた。けれど、その顔はやさしくて。 「やっぱり君って馬鹿だね」 「君がついていくことに了承したんですよ」 向けてくる顔のやさしさに、ハルの体中の緊張が解けていた。 「骸さん!雲雀さん!」 「ちょっ!」 「おやおや」 あんなにも・・というほどではないが(他の一般人に比べればの話であるが)怯えていた骸と雲雀に抱きつくハルを見て、リボーンはひとつわずかな笑みと共に溜息をついた。 マフィアに適しているのは、どちらかといえば京子だと思っていた。 “マフィア”にこだわるならもちろん今もそう思っている。 何せハルは感情の起伏が激しく、表情豊かで隠し事には向かないタイプだ。 感情を抜いて冷静な判断をしなければいけないとき、まだ正しい判断ができるのは京子だろう。 “マフィア”なら、どちらかといえば京子の方が適している(どちらかといえば、が前提だが)。 なのに。 リボーンは知らず知らず溜息を吐いた。 確かに気付いたのは知っているハルが先だったからといって、何故教えようと思ったのか。 ハルが一緒に行きたいと言い出すのはわかっていたことだというのに。 嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、骸や恭弥と話すハルを見た。 ハルの言葉を恭弥が馬鹿にして、骸がフォローをしたようでトドメをさして、ハルの反応に二人が顔を見合わせる。 (・・・お前等、そんなに仲良しだったか?) さっきまで戦ってただろうが、骸、恭弥・・・とつっこみたい気分になりながらも、その光景を見つめていた。 感情の起伏が激しくて、感情抜きの冷静な判断なんて、きっと一生できない。 “マフィア”になんて一番適していないような人間だ。 ―――だから、こんな体当たりもやってのけるのだろうけど。 結局のところ、二人がハルの言葉を馬鹿にできなかったのは、ツナがそうなるのを恐れたからだ。 殺すこと、傷つけることになれるなんて・・・。 「ま、それも変な話なんだがな」 マフィアらしくないマフィアってのも、たまにはアリだろ? |