ちがうんですよ、なんて弁解の言葉は今更届かないのだと思う。

再三注意されていたし、それなのにその約束を破ってしまったのはハルなんです。
だから、ツナさんは自分を責める必要なんて無いんですよ。ツナさんは優しいから、きっと自分を責めてしまうかもしれないけど。


気付いたのがハルだけだった、ってだけなんです。




「――っツナさん!」
気付いたら思わず駆け出していた。

本当だったらボスとか十代目とか言わなくちゃいけないんですけど、でもそんなことは忘れてしまっていて。
ただ、ツナさんが危なかったから、それだけだったんです。

「ハ、ルっ」

そのまま急いでツナさんに飛びついた。

途端、じんっと背中が熱くなってドクドク心臓の音が響いて、ああハル怪我しちゃいました、なんて呆然と思って。
色んな人がハルの名前を呼んでいる声が聞こえたんです。

獄寺さんは毎日喧嘩するのに凄く心配そうな顔で。
山本さんも焦った顔をしてて。
リボーンちゃんは眉間に皺を寄せていて。

雲雀さんも笹川さんも骸さんも凪ちゃんも、皆皆心配そうな顔をして、焦った顔をして。


「ハルっ!!ハル!」
耐え切れなくって落ちた身体を、泣きそうな顔をしたツナさんが受け止めてくれた。
一緒に避ける、なんてそんな話、スクリーンの中だけなんですよ、ツナさん。

「ツナ、さん」
「ハル!ハルっ!」

何回も何回もツナさんがハルの名前を呼んでくれて、それだけで嬉しくなっちゃうんです。
ハルって本当に現金ですよね。


「っよし、片付けた・・・―――おい、獄寺!すぐにシャマル呼んでこい!」
「はいっ!」
リボーンちゃんの声がして、獄寺さんが走り出した。

ぎゅうってツナさんが強く抱きしめてくれて、こんな時ばっかりってちょっとだけ哀しい気分になった。
でも、嘘ですよ、ツナさん。だって、ハルはどんなときだってツナさんが抱きしめてくれたら嬉しいんです。

「ツ、ナさん・・・だいじょ、うぶですよ、ツナさん」
「ハル、ハル!すぐにシャマルが来るから!大丈夫だから!」
もう力すら入れる気力がなくって落ちてた手をツナさんが力強く握ってくれた。


本当、ツナさんはいつだって格好よくって、ハルは何回もフォーリンラブしちゃうんですよ。
そんな大好きな大好きなツナさんだから、そんなツナさんを泣かせたくないから死にたくなんてないし、死ぬつもりなんてないけど。



でも、ちょっとだけ。

ちょっと目を閉じたら、ハルはまた起きれます。
喋って、またおかしなことを言って笑って。大丈夫、大丈夫ですよ、ツナさん。

だって、ハルはツナさんが大好きで大好きで仕方が無いんですよ。



「っハル!目を閉じるなっ!ハル!!」
叫んで泣きそうになってるツナさんの顔が滲んできた。

大丈夫ですよ、ツナさん。ハルはツナさんを一人にしないって誓ってここまで来たんです。
ハルの大好きなツナさんの優しい心を少しでも護れるようにここまで来たんです。

ツナさん、大好きです。


ツナさんツナさんツナさんツナさんツナさんツナさんツナさ





最後に何度も繰り返すのは



( 大好きだっていつだって誇れる貴方の名前、ただそれだけでいい )