「ん・・・」 もう一回目を覚ましたら、今度はまた白い天井。でもそれは少しだけクリーム色で、さっきの吸い込まれそうなほどの白さは無かった。 「ハル、起きたの?」 目を開けて少し横を見るとツナさん。 答える暇もなくツナさんがベットの横にあるボタンを押して、ハルの上半身がゆっくり起き上がった(はひ、で、電動です・・・!)。 そうして、視界に入ったのは、広い部屋。 「あ、あの、ツナさん・・・ここ――」 「ここには何でもあるよ」 「え?」 ツナさんが凄く優しく微笑んでくれて。 「俺も来るし、皆も呼ぶから」 「あの、ツナさん?どういうことですか?」 「ハルに寂しい思いなんてさせないから」 会話がかみ合わない。 こんなことなんて今まで一度も無かったのに、ツナさんとハルの会話はかみ合わない。 違う、そうじゃないんです。 ツナさんが、ハルと会話をかみ合わせようとしてない。 「ハルの好きな人形とか、お菓子や料理だってできるし、テレビだってあるし、映画も見れるし、娯楽だってあるから」 何を言ってるのか分からなかった。ハルは、どうしたらいいんですか、ツナさん。 視線を彷徨わせたら、鉄格子のついた窓が見えた。 「ツナさん、ツナさん、教えてください」 「俺毎日来るし、呼びたかったらだれだって呼んでもいいから」 ね?とツナさんが首を傾げた。 違うんです、ツナさん。教えてください、ツナさん。 ここにいてくれっていうのは分かりました、ツナさん。だから教えてください、ツナさん。 「ツナさん、なんで」 ハルをここにおいて行くんですか? 「今日はもう時間だから行くね。無理しちゃ駄目だよ?機械は音声認識だけどあんまり大きな声ださなくても大丈夫だからね」 そう言うと、ツナさんはそっとハルの額に口をつけて、それから出て行った。 ツナさん、ハルおかしいんです。 ハル、ツナさんにオデコにキスしてもらったのに、全然嬉しくないんです。 何でか哀しくて仕方が無いんです。 ツナさん、ツナさん、どうしてハルの目を見てくれないんですか。 何時だってどんな時だって、ハルの目を真っ直ぐに見てくれたのに。 何でハルの目から逸らすんですか。 ツナさん。 どうしてそんな遠くに行っちゃったんですか? 目の前が歪んで、唇が震えて思わず歯で噛んだら頬に熱い雫が落ちた。 ツナさん、おねがいです、教えてください。 ハルの目を見て、教えてください。 「ツナさん、どうして――」 |