机に押さえ付けられ、今日一日・・・いや、二日丸々書類処理を余儀なくされた綱吉はおおいに溜め息を吐いた。 目の前に広がるのは書類の山は、テストや宿題が嫌いな綱吉にとって地獄以外の何ものでもない。 そんな綱吉の様子にリボーンは額に青筋を浮かべた。 「ダメツナ・・・全部てめぇのツケだろうがっ!運んでくるのが獄寺なのを良いことにハルのところに通いやがって!」 「だ、だって・・・」 「だっても何もねぇ!」 気まずげに視線を逸らした綱吉にリボーンは子を叱るように怒鳴る。 沢田綱吉、これでもマフィア最高峰とよばれるボンゴレのボスである。 それは置いといて(置いておける事では無いのだが)、またひとつ溜め息を吐いた綱吉に鋭い目を向けた。 これだけの量の書類は処理するのが大変だろう・・・だけれど。 「じゃあ、あいつらは俺が処分をくだしてもいいんだな?」 一段低い声で言うリボーンに綱吉が椅子の背にもたれていた体を起こした。 その目は厳格な雰囲気で光る。 「あいつらは俺が直接処分する。マフィアで裏切りは一番の罪だ・・・それに――」 綱吉の言葉が止まる。 握り拳を作っている左手は震えていた。 「あいつらのせいでハルが怪我したんだから」 許せない、とその瞳は怒りに揺れていた。 ハルを傷つけた、きっと裏切りものはただじゃ死ねないだろう。 勿論リボーンも許すつもりなど無かったが、一番残酷な目にあうだろうと思うと溜め息を吐いた。 全くもって裏切った彼らへの同情は一片も無かったが。 「だったらさっさと仕事を片付けろ、ダメツナ」 「ん」 重くなった空気を打破するようなリボーンの言葉に綱吉は頷いた。 暇を見つけてはハルのところへと通っていたため塵が積もるように溜まったらしい。 「そういえば、骸から伝言があるぞ」 「んー?何?」 「『任務には犬と千種を向わせました。こんな程度の仕事を押しつけて・・・嫉妬する暇があったら仕事したらいかがですか?』だとよ。ま、今回は俺も骸と同意見だな」 「うぐっ!」 長々とした伝言とそれに味方するリボーンに綱吉は胸を押さえた。 「第一、カメラはともかくとして、盗聴器はかなり最低だな」 「だ、だって、もし俺がいない間に何かあったらどうするんだよっ!」 溜め息をつくリボーンに綱吉は反論した。 が、リボーンに口で勝てるはずもない。 「盗聴までする必要はねぇだろうが。はっ。一体何につかってることやら」 この変態め。彼は吐き捨てるように笑った。 「リ、リボーン!な、ななな何にも使うわけないだろっ!」 「そうやって動揺するところが怪しい。ま、ハルにバレて怒られないような使い方するんだぞ」 「だからっ・・・」 何にも使ってないんだってば・・・。がくりと膝をついた。 もう何を言っても無駄である。 「落ち込んでる暇があったらさっさと仕事しやがれ」 「誰が落ち込ませたんだよ・・・」 はあ、と盛大に溜め息をついた綱吉にリボーンが立ち上がった。 「さてと。ハルに綱吉がハルの声を夜のお供にしてたって吹き込んでくるか」 「わー!わーわーわー!仕事します頑張ります!だから変な事吹き込、」 綱吉の言葉はそれ以上続くことはなかった。 |