「えっと、火をつけて離れたらいいんですよね」 ダイナマイトの使い方をもう一度確認した。 「・・・ああ」 獄寺さんの返事は暗い。 多分ツナさんを裏切ってるんだっていう気持ちと、色んなことの間で揺れてるのかもしれないけど。 でもごめんなさい、獄寺さん。 ハルは、恐いけど・・・凄く凄く恐いけど、止まれません。 「じゃ、鉄格子を壊します」 火をつけて、急いで離れた。 本当は入口から出ればいいんですけど、それじゃダメなんです。 『ここ』を壊さなくちゃ。 閉じ込めていたって、こんな檻で塞いだって、駄目なんだって。 それだけじゃハルの思いは押さえきれないんですよ。 それに―― 「ここからの方がツナさんの部屋に近いんですよ!」 一刻だって猶予は無いんですから! カッと光って思いっきり爆発の音がして、ぶわっと風が起きた。 大きな音がして、きっとこれもツナさんに届いてる。 これからハルが行きますって、ここを壊しましたっていう、メッセージなんですから。 大きな警戒音が鳴り響いた。 「行きますよ、獄寺さん!」 壊れた鉄格子を飛び越えて走り出した。 久し振りに出た外は眩しくて、ちょっとだけ泣きそうになった。 でも、今はまだ我慢。 「お、おう!」 後ろから獄寺さんの足音が聞こえて、そのまま走り出した。 道を歩く人の顔が驚いた顔でハルを見るけど。 「ツナさんは執務室にいるんですよね!」 後ろにいる獄寺さんに聞いた。 「ああ。リボーンさんが一緒にいる」 なら大丈夫だって思った。 多分ツナさん以外の人たちは気付いてる。ハルしか、ツナさんを元に戻せないって。 だってハルは一緒に戦う力以外の力でここに来たんだから。 今、ツナさんを元に戻せるのは、護られてしまうハルだけだって知ってるんです。 ツナさん、思い知ってください。 何度何度置き去りにされたって、突き放されたって。 綺麗な世界で生きていて欲しいって言われたって。 ハルは勝手で我侭で、ツナさんと一緒にいるためになら綺麗な世界なんて捨てられるほど自分勝手に。 ハルはツナさんのところに行くんです。 だからツナさん、思い知ってください。 「待っててくださいね、ツナさん」 救いたいとか、支えてあげたいとか、確かにそうしてあげたいって思うけど。ハルはそんな綺麗な人間じゃないから。 その前に、ただ単純に。 |