ゾクリと、悪寒が走ってそれ以上言葉を続けることが出来なかった。 それと同時に、爆音が響いた。 「っ―――!!」 敵襲!?・・・いや、違う、この音は隼人のダイナマイト、で。 「・・・ハル?」 音源はハルの部屋の方だった。 ハルの部屋の方・・・じゃない、ハルの部屋からだ。警戒音はハルの部屋のもので。 「あ。っ、カメラ!」 急いでカメラの映像を確認しても、真っ暗で繋がっていなかった。盗聴器も一緒で何も聞こえない。 いつから・・・いつからこの状態だった?この存在を知ってるのは幹部だけだから、切ったとなると人数が絞られてくる。 ・・・いや、その前にどうして隼人が爆発を起こした? 隼人がハルに危害を加えるわけもないし、あの部屋を壊すわけも無い。 皆だってそうだ。その優しさに俺は甘えてきたんだから。 だったら、あそこを壊したのは――。 「ハル?」 もし、彼女があそこを出ようと、動いたのなら。 「!骸、凪!」 そうだ、隼人の前にハルの部屋に行ったのは骸と凪だ。もし何かしらハルがサインを送ったとして、それを見過ごすような馬鹿じゃない・・・。 ましてや、それを顔に出すなんて。 「でもっ、何であそこを出ようなんて・・・」 何回も通って、ハルが寂しい思いをしないようにって、いつだって。 置かないものなんて何もない部屋で、日当たりだって良い場所で、そうして俺だっていつも一緒に居たのに。 何で・・・。 いつだってそうだ。ハルは俺の願いなんて無視して、あっさりといつだって傍にいて。 見せたくないって思ってるものだって見ようとして、いつだって笑っていて。 それが無神経だなんて思えるはずもなかった。 だって、あんなにも優しい目が、敵を殺して帰ってきた俺をダメツナでいさせてくれた。 殺すことはおかしいことなんだって、それに慣れさせないでいてくれて、人でいさせてくれた。 あの優しい目が。 こんな真っ赤に染まった手で触れていいのかって戸惑う心でさえ抱きしめてくれて。 だから、恐くなったのに。 忘れていた、思わないようにしていた、失うことの恐さを再確認して。 あの部屋にいて欲しかったのに。 死なないでいてくれて、いつだってあの笑顔で迎えてくれて、そうして一緒に居られたら。 「なんでっ、なん、で・・・っ!」 あの部屋に居てくれないんだ。 だって、そうすれば死ぬ危険も無いし、俺はいつだって逢いに行くのに。 兎も角、そんなことを考えてる場合じゃない。 あの部屋が壊れたってことは、多分来るのはここだ。 もう一度、あの部屋を早く直して、 「そこをどけっ!」 思ったより声が震えていた。握った拳はギリギリと悲鳴をあげていた。 「その命令は聞けねぇな、ダメツナ」 |