「え・・・わ、あ、えっと・・・」 顔を真っ赤にして戸惑う綱吉に、リボーンはやっとか、と溜め息を吐いた。 それと同時に扉が開く。 「おやおや、まるで初恋したてのようですね」 くふっと笑ったのは後ろにクロームを引き連れた骸で、顔を赤くした綱吉におどけるように笑った。 「な、なんだよそれ!」 思わず昔のように言い返すと骸は「やれやれ・・・」と肩を竦めた。 それから、からかうような目で綱吉を見る。 「全く、ドン・ボンゴレともあろう人が・・・まるで思春期真っ盛りで」 「うるさい!」 骸を黙らせようとして怒鳴るが逆効果。むしろ骸に新しいネタを作るだけだった。 「ボス・・・骸様。それよりも、ハルは・・・」 後ろで二人のやりとりを見ていたクロームが恐る恐る口を挟んだ。 「そういえば!どうやってハルに止めろって伝えられたんだよ!」 あの場所で、と言う綱吉に骸は内心毒気を吐いた。 なぜその超直感が働いてくれないのか・・・。この役立たずめ。 「・・・はぁ。仕方がありませんね。君にも分かるように説明してあげましょう」 「うっわ。ものすごく上から目線・・・」 これみよがしに溜め息を吐いた骸に、綱吉はげんなりとして返事を返した。 そんな綱吉を無視して、骸はちらりと簡易キッチンに目を向けた。 「角砂糖いくつ・・・なんて、ハルはもう人間関係乏しい雲雀君のですら把握してるんですよ」 「あっ!」 ふと、ハルと骸とクロームの会話を思い出して、綱吉は目を見開いた。 そんな簡単なことにすら気付かないほど、余裕が無かった。 「彼女の言葉の語頭、全てをつなげれば、簡単でしょう?」 言葉遊びなんて散々したじゃないですか、と笑う骸に綱吉は唇を噛む。 「それにしても」 突然リボーンがニヤニヤとしながら口を挟んだ。 「愛だの恋だのをくだらないと一蹴してるてめぇがハルに味方するとはな」 「おやおや、何だかそんなことをいったら僕が冷酷な人間のようじゃありませんか」 にっこりと笑うけれど、リボーンの視線はその通りだと訴える。 「綱吉とは違って僕はもう闇に落ちていますからね・・・本当なら彼女もどうだっていいんですよ」 くふ、と独特の笑い声をあげる骸に、クロームは一瞬眉を寄せた。 「けれど――」 骸が呟いて、それに綱吉が顔を上げて視線が絡む。 その瞳はどこか悲しげで優しくて、それでいて愛しそうに。 「光を信じてみたいと思ってしまうときがあるでしょう?愚かでも」 その目はどこか悲しそうで、痛そうで。息を呑んだ。 けれど、そんな雰囲気を打破するように骸はくふふっと笑った。 「第一、あの本当に人間関係破綻者な雲雀君ですら気に入ってるんですから。凄いですよね、ハルは」 「君は一言余計なんだよ」 その言葉に続くように扉から聞こえたのは。 「恭弥さん・・・了平さん」 |