何て言ったらいいのかわからなくって、何度か口を開閉して。 漸く吐き出したのは弱音だった。 「ハルが死んだら、どうしようって思ったんだ」 まるで小さな子どもみたいに弱音を吐いた。 ハルはその言葉を黙って聞いていてくれて。 「怖くて怖くて仕方が無かったんだ」 確かに、死は訪れるのに。 ハルにだって、俺にだって・・・なのに。 「ハルが死ぬのが嫌で」 だから、閉じ込めた。――綺麗で安全な場所に。 「日本に返した方がいいかと思ったけど、安全とは言い切れないし」 そして何より。 「手放せなかったんだ」 ゆっくりとハルの目が見開かれた。 まさかと言わんばかりの表情に思わず笑ってしまいそうになるけど、堪えて。 息を吸って、吐いた。 「ハルが、好きだから」 同じ意味なんだって分かってもらえるようにじっと目を見つめた。 俺の目を見つめてたハルはくしゃりと喜びに顔を歪めて。 俺が死ぬことでハルが哀しむなら・・・何としてでも生きて帰ってやる。 同じことをハルだって思うんだ。 そんな簡単なことに、今更気付いた。 ――違う。多分今だから気付けた。 中学生のあの日から長かったから、てっきりハルの好きは親愛になったんじゃないかって思ってた。 ハルは好きって言う以上何も言うことは無かったし、望むことも無かったから。 だから、今気付けた。 好きだから、傍に居たくて・・・だから、必ず生きて帰ってやる、なんて意地にも似たこと。 「ハル・・・好きだ」 ひとつ、涙が零れた。 ハルの目から頬を伝って流れて落ちて。 「――はい。ハルも・・・好き、です」 その笑顔は光のようで。 俺の両頬に添えられたハルの両手に、俺の両手を重ねた。 暖かい・・・。 いつだって暖かいんだけど。 「ツナさん」 「ん?」 突然ハルが口を開いて、先を促すとハルはにへらと笑った。 「ハルを失いたくないって思ってくれて、嬉しいです。そんなに大切に思ってくれてたんだって嬉しくなりました」 あんまりにも幸せそうに笑うから。 「ツナさん。好きです」 そう言ったハルに顔を近付けて唇を重ねた(あ。ファースト、キスだ・・・)。 ゆっくり離れるとハルは笑ったけど。 それだけじゃ――足りなかった。 |