「く・・・くく・・・っ」 漆黒の少年は思いっきり綱吉を見ながら笑っていた(笑いを堪えるなんて可愛いことはしない)。 楽しそうに見る先にあるのは、綱吉の頬にある両手の跡で。 「ははははっ!」 「っ、リボーン!!」 堪えることもなく声を上げたリボーンに、綱吉が立ち上がって、 「 ツ ナ さ ん ! 」 「・・・はい」 目の前で仁王立ちするハルに渋々頷きながら座る。 そんな綱吉にリボーンはさらに顔に「面白い」という言葉を浮かばせながら笑っていた。 「くくっ、ざまぁねぇな、ダメツナ。・・・ぶっ!」 この少年は数年たって随分と表情豊かになったらしい(その大部分はハルが理由なのだが)。 腹を抱えながら笑うリボーンに、綱吉の堪忍袋の緒が切れる。 「いい加減にしろよ、リボ――」 「いい加減にするのはツナさんですよ!」 ・・・というところで、またハルの制止がかかった。 ギラギラとハルの眼は光っていて、それに綱吉は堪忍袋の緒を結びなおした。 「ハ、ハル・・・」 「お仕事こーんなに溜めて!駄目じゃないですか!」 「いや・・・その・・・」 机の上に山のように溜まっている書類をさして、ハルはギロリと綱吉を睨んだ。 「終わるまで紅茶は無しです!」 「えぇ!?」 ふんっと顔を逸らしたハルに、綱吉が叫んだ。 けれどやっぱり機嫌が直ることはなく、この書類を済ませない限り紅茶を飲むことは出来ないらしい。 さらに落ち込みながらも書類に手を伸ばした綱吉に、リボーンはニヤリと笑った。 「さっさと終わらせろよ、ツナ」 「分かってるよ・・・」 うるさいなーとブツブツ言いながら書類にサインしたりしていく綱吉に、リボーンはさらにニヤリと笑う。 「いいや、分かってぇな」 ちなみに、目もキラーンと輝いた。 「は?」 きょとんと書類から顔を上げた綱吉に、リボーンはちらりとハルを見て。 「その書類を終わらせない限り、お前に寝る時間はねぇ」 「・・・・・・!」 ちょっと待て。綱吉はタラリと汗を流した。 「そうですよ、ツナさん!お休みタイムは無しですからね!」 心を鬼にします!というハルに、綱吉は内心「絶対意味が違う・・・」と思った(言うつもりは絶対にないが)。 そうしてリボーンに視線を戻せば、未だニヤニヤと笑っていて。 「さて、がんばれよ?ツナ」 この性悪家庭教師。内心で罵っておいた。 「・・・頑張ります」 けれど、一生彼に勝てることなんてない。 |