「平和ですね、雲雀君」
にっこりと笑うのは隣にいる六道骸。

中学生の時はムカツク奴で、今もむかつく奴だけど、前に比べると突然咬み殺そうとしたりはしなくなった(僕が)。
咬み殺そうと思えばいつだってできるけど、今咬み殺すと互角に戦える奴がいなくてつまらなくなる。

そうこうしているうちに、普通に会話をするようになった(今じゃお茶だってしてるし)。


多分これは慣れと、時間と・・・あと――。



「平和って、このマフィアの中枢でもあるボンゴレの・・・しかもドン・ボンゴレの執務室の前で言うこと?」
君頭いかれてるんじゃないの?

「おやおや、随分手厳しいですね。・・・じゃぁ、訂正しましょう。日常が、戻りましたね」

僕らが見てる前には仁王立ちするハルと、それに怒られながら書類を処理する綱吉がいて。
途中、リボーンのからかいが入る。

「・・・まぁね」
呟くと、突然隣で骸が笑い出した。

中学の時からずっと思ってたけど・・・こいつって普通に笑えないわけ?


「クフフ・・・まさか、君とこんな風に話す日が来るなんて、中学生の時は思ってもいませんでしたね」

まぁ、確かにその気持ちはわかる。


「そうだね。きっと中学の時の僕だったら、自殺してたかもね」

「そんなにもですかっ!?」


するわけないでしょ。僕が態々他人のために死ぬなんて面倒でくだらないこと。
ショックを受けてる骸を放っておいて、目の前のハルと綱吉を眺めた。

多分、こうして骸と普通に話をするようになったのは、ハルのせいだ・・・と思う。
第一印象は赤ん坊が言ってた緑中の少女。第二印象は僕に盾突く面白い少女。


第三印象は・・・力も無いくせに粋がる馬鹿。

そのとき一番彼女を、愚かだと思った。



「それにしても、ハルは凄いですね」

「復活したんだ・・・」
あのまま沈んでれば良かったのに。


「・・・。と、とりあえず・・・・・・ハルのあの力は、一体どこから来るのでしょうね」
答えを分かっているくせに聞いてくる。性根悪すぎだよね、君。

「戦う力が無いだけ、ありあまってるんでしょ」


リボーンに言われて屋上にやってきたハルに、苛々した。
上辺しか知らないくせに、戦うことすらしらないくせに、甘えたことを言う馬鹿。

別にハルが死んだってどうでも良かった。ただ、それは酷く綱吉を哀しませるから、切り捨てた。
どうせ、あの子はそんなことできやしないんだろうし。

安易な気持ちでこの世界に来て、一人で絶望しようと死のうとなんだろうとどうでも良かった。ただ綱吉の基盤を揺るがすから止めた。

それと同時にそんな程度の気持ちで主張を押し通そうとすることに苛々した。

脅して無力を叩きつけて、そうすれば諦めるだろうと思った。

いや、実際一度諦めた、だろうけど。
だけど。


「ま、しいて言うなら・・・ハルだから、じゃない?」

あの子が一度惚れた笹川の妹じゃ駄目だった、ただ戦えない存在というだけでも駄目だった。
(それ以前に、認める気にもならないし)


ハル、だったから。





たくさんの理由が絡まりあう未来で



( 今、この未来がやってきた )