「――はい、終了です」


「・・・つ、疲れた・・・」
約1日丸ごとを使って処理された書類を確認して頷くと、ツナさんはガクリと身体を机に倒した。

思わず笑みが零れた。


「紅茶、入れましょうか?」

いつものとおり声をかけて、いつものとおりツナさんが顔を上げて。
でも、いつもと違って向けてくれる表情が、違う。

「うん、お願い。ハル」
そう答えてくれたツナさんに笑って、それからいつもの簡易キッチンに向かって。


「(埃・・・被ってます)」

それだけ傍にいなくって、誰にもここを触らせなかったってことですよね。
寂しくて、でもちょっとだけ嬉しくて。

簡単に掃除をして、いつもみたいに紅茶をいれた。


ツナさんが大好きな味を知ってるのは、ハルだけなんですよね。
獄寺さんが入れても、山本さんが入れても・・・ハルのが飲みたいって後で言ってくれたとき、どれだけ嬉しかったか知ってます?

やっとツナさんと両思いになれた。そう思うと、嬉しくて嬉しくて仕方がないんですよ。



・・・そういえば。さ、さっき、キ・・・キキ、キス、し、しましたよ・・・ね?


紅茶を少しだけ寝かせる時間、いっつも色んなことを考えちゃうのはハルの癖ですけど・・・なんですけど。
こんなこと、二人っきりになってから思い出すなんてっ!


「か、かか、考えちゃ駄目です・・・!」
もの凄く近いツナさんの顔とか、ハルを掴む手の強さとか熱さとか――。そういえばツナさんのベロがくく、口にっ・・・!


「って、考えちゃ駄目なんですぅ!!」


変態さんじゃないんですから!ぶんぶん頭を振ってたから、変なことを考えてたから、


「ハル?」


ツナさんがきてたなんて気付かなくって。

「ツ、ツナさん・・・」
絶対顔真っ赤です・・・。ツナさんの方に振り向くと、ツナさんが噴出した。・・・失礼ですっ!


「ハル顔真っ赤だよ」
「そ・・・その、そのですね、別にツナさんとさっきちゅーしちゃったとか、そんなこと考えてたわけじゃなくってですねっ」

「じゃなくって?」
ツ、ツナさん・・・顔が何だかニヤニヤしてますっ!


「そ、その・・・じゃなくって、えっと・・・ツナさんの傍にいれて嬉しいなって」

そう言うとツナさんがきょとんと目を見開いて、それから大好きな笑顔で微笑んでくれて。


「うん。俺も、嬉しい」


ツナさん、大好きです。

さっきのチューとかだけじゃ伝わらないくらいに、大好きなんです。
ハルのツナさんへの思いの大きさは、あの箱庭を壊したくらいだなんて思わないでくださいね。

あんなんじゃ、足りないんですから。



ツナさん。
ハルは、ツナさんが大好きなんですよ。



「幸せになりましょうね」
二人で。








( 隣にいれること、同じものを見ていくということ、これが幸せでしょう? )