「ごめんな、ハル」


ツナさんの馬鹿、ツナさんの馬鹿、ツナさんの馬鹿、ツナさんの馬鹿馬鹿馬鹿。
ハルが一番泣きたいのに、ツナさんが一番哀しい顔しないでください。


「イタリアに、ハルを連れて行くことは、出来ないんだ」

わかりましたと、物分りの良い答えをしてしまって後で悔やんでしまいそうなので、止めてください。
哀しくて苦しくて未練たらたらみたいな顔、しないでください(期待しちゃうでしょう?)。

「ツナさん・・・」
「ごめんな、ハル。だけど、本当に危険だから」


ツナさん、ハルははいって言おうと思います。
だって本当に危険なのは知ってるし、ツナさんはハルを好きじゃないって知ってるし、重いって思われたら哀しいし。

だからツナさん、ハルははいって言おうと思います。


「ごめんな、ハル。連れて行くことは出来ないんだ」

本当に一番哀しそうな顔をしてくれるから。
だから、ツナさんを笑顔にするためには、ハルは日本に居なくちゃいけないって思ったんです。



そう、思っていたんですよ(今の今まではっ!)



「だからハルは、日本で幸せになって」

この言葉を聞くまではっ!!



「―――ぶっ!!」

思いっきり投げた枕がボスンと音を立てました。
うん、良い枕使ってますね、ツナさん。


「ばっっっっかじゃないですかっ!?ツナさん!!」
「ハ、ハル・・・?」
鼻を真赤にさせたツナさんがきょとんとハルを見上げてくるけど、もう無視です無視!

今の今まではしおらしく思ってたんですよ?
ツナさんの足かせになるから、ハルは日本にいるほうがツナさんの幸せになるんだって!

ああもう、ツナさんの馬鹿。

「ツナさんの馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!何が、日本で幸せになって、ですか!一生無理ですよ!断言してやりますよ!」
「なっ、馬鹿って・・・!」

ああもう、本当にツナさんの馬鹿!!

だってだって(無理なんですもんっ!!)。

「あれですか?俺が居なくても幸せになってとか、そんな自己陶酔入った自己満足ですかっ!?それで格好付けたつもりですかっ!?」

「な、なっ!!なんだよそれっ!!」

ツナさんが反抗してくるけど、知るもんですかっ!!
想像以上に鈍感なツナさんに、ハルは思い知らせてやらなくちゃいけません。

じゃないとツナさんは京子ちゃんを好きなくせに、京子ちゃんに嫌われちゃうんですからねっ!!


「ツナさんが居ない日本で幸せになる方法なんて、ハルは知らないんですよっ!!」


どうしろって言うんですかっ!ツナさんが居なくちゃ幸せになんてなれないっていうのに!
そういいきると、ツナさんが突然顔を赤くした(あれ?)。

「・・・そういうこと・・・突然言うなよっ・・・!」

ぎゅっと突然包まれたのは、京子ちゃんを好きなはずのツナさんの腕の中(あれ?あれ?)。


「全部ハルから奪ってでも、攫いたくなる」

好きだって言ってくれたツナさんにぎゅーって抱き返して、じゃあ攫ってください!と言い切った。





君にハートを射抜かれた!



( 一体どうしてくれるっていうんだ!この一生直りそうにない傷は! )