※アニリボ84話より




怖かった。
凄く凄く、本当は、怖かったんです。

本当は泣いて飛びつきたかったんですけど、でも、ツナさんは今凄くたくさん修行して大変なんです。
ツナさんが頑張ってるのに、ハルだけ泣けません。

この世界にきたときは泣いちゃいましたけど、もう絶対に泣かないって決めたんです。

だからハルは怖かったなんて言いません。ツナさんに余計な心配をさせないって決めたんです。
ツナさんは誰よりも一番頑張ってるんだから、だから、ハルはツナさんを信じてるだけです。

ハルは絶対にツナさんが何をしても、どんなことをしても、信じてます。

絶対絶対、ツナさんを信じてます。




「ル――・・・ハル?」
「はひっ!?」

顔をあげると、ツナさんがハルの顔を不思議そうに覗き込んでいました。
はひっ!せっかくツナさんが何度も呼んでたのに、ハルは気づいてなかったみたいです!


「ご、ごめんなさい、ツナさん・・・!ついつい考え事してましてっ!」
「どうかした?どこか怪我した?」
「ち、違います!ハルは全然平気ですよっ!」

ツ、ツナさんに心配をかけてしまいました・・・。
ダメです!こんなんじゃ!


「無理もないわ。戦闘経験のないのに敵に囲まれて、追いかけられて。よく我慢したわ」
「全然平気です!何されたってハルはアジトのことも仲間のこともバラしたりしないんですからっ!」

それに、絶対にツナさんが助けにきてくれるんですから、大丈夫なんです!
ハルは信じてます。

「何されたってって・・・」

そうですよ。何されたって、ツナさんのためならハルは耐えますからね!


「それに、ツナさんが絶対助けにきてくれるって信じてましたからっ!だから、全然平気、ですっ!怖くなんて・・・」

だめ。

じわじわと目の前がゆがんできて、ボロリとこぼれそうになった。
泣いちゃだめ、泣いちゃだめ、泣いちゃだめ、泣いちゃだめ、泣いちゃだめ、泣いちゃ、泣いちゃ、


「ハル、怖かったでしょう?泣いていいわ」
そう言って、ビアンキさんが頭をナデナデしてくれて、さらにこぼれそうになったけど、我慢ですっ!
ハルは、ツナさんのワイフになるんですからっ!

「マ、マフィアのボスの妻はこれくらいじゃ、泣いたりしないんですっ!」
「マフィアのボスの妻って・・・」

無理すんなよ、ってツナさんが言ったけど、ハルはツナさんが大好きでもその言葉は聞けません。


「だって、だってツナさんが泣かないで頑張ってるのに、ハルだけ泣くなんてできませんっ!ハ、ハル、はっ、ツ、ナさ、が泣いたら、泣く、んですぅ・・・っ!」


それが良い妻ってことなんですっ!
だから、ハルは泣いてないんですっ!絶対絶対に泣かないんですっ!


「ハル・・・」

「だから、だから、ハルは泣かないんですっ!!」
袖で思いっきり目をこすると痛かったですけど、全然平気です。
こんなの、全然痛くないんです。


だって、痛いことも怖いことも苦しいことからも、全部ツナさんが助けてくれるって信じてるんですから!!





だから貴方の泣く場所でいよう



( そうして貴方が泣きだしたら、誰にもバレないようにその泣き声を消すくらい大きな声で泣こう )