「ハル、そんな暗い顔すんなって」 な?と首を傾げたのは今日護衛に来てくれた武さんだった。 本当はここで護衛するよりもツナさんのところに行きたいんだろうと思うんですけど・・・。 「はひ・・・。あ、あのツナさんは」 「大丈夫だって。相手の敵が多いのな。だからちょっと手間取ってるだけだって」 嘘、だと思った。 ハル勘はあんまりいいほうじゃないと思ってたんですけど、何ででしょう・・・。 武さんの腕や足には包帯がしてあって、本当はもっと怪我があるんだろうって思った。 ・・・武さんだってこんな状態なのに。 他の人よりも何よりも、きっと一番傷を負ってるツナさんのことが気になって仕方が無かった。 「明日は獄寺がくるからな」 ニカっといつものように笑う武さんに、ハルも少しだけ笑って頷いた。 隼人さんですか・・・。 「絶対十代目十代目!ってうるさいでしょうね」 「はは、想像しやすいよな!」 クスクス笑った。 本当は護衛なんて言ってるけど、今のところここに敵が来ることは少ないから何もすることなんてない。 だから余計にツナさんのところに行きたいはずなのに。 「なぁ、ハル。俺はハルのことめっちゃ気に入ってるしさ。だから護りたいっていうのは俺の意志も入ってんだぜ?」 何考えたか、バレちゃったんですね。 顔をあげると武さんがまたニカって笑った。どんなときでもそうやって笑ってくれるのは武さんの凄いところですよね。 「武さん・・・」 「だからハルは気にする必要はねぇの」 な?と武さんが笑ってくれたけど、でもハルにはそう思えないんです。 ハルはこんな足手まといになりたかったわけじゃないんです。 だけど助けになりたいって想いばっかりで、結局何の役にも立ててなくって、護られる存在になってばかりで。 「ハルなんにも出来ないのに・・・そんなこと言ってもらう資格なんてないんです・・・」 お母さんになるから泣いちゃ駄目だって思うのに。 止まらないから結局両手で顔を覆って涙を隠すしかなかった。 そうしたら武さんが優しく頭を撫でてくれた。 「ハル、ハルにはツナを待ってて欲しい。どんなに言っても結局無理してんのな、ツナ。だから、ハルに出来ることはツナを待ってて怪我したツナを怒ってやれって。それを出来るやつはハルしかいねぇんだから」 知ってます。ここで力のない人間なんてハルくらいだから。 だからそれが出来るのはハルだけだって知ってるんです、武さん。 「でも待ってることしか出来ないなんて、いやです・・・!」 待っているだけなんて、それじゃあツナさんが戦ってる間何もできないのと一緒じゃないですか。 足手まといにしかなれないのに、どうして皆さんハルにそれでいいよって言ってくれるんですか。 お前なんて足手まといだ、なんて言わないのはどうしてなんですか。 優しいから・・・そんなこと言ってくれないくらいに優しいから、ハルは失いたくないし護りたいのに・・・。 ごめんなさい、ハルには何にも出来ないんです。 |