その銃は、まっすぐ左胸を貫いた。


「ぐっ・・・」
ハルのことを侮ってたのか、そんなことをするとは調べてこなかったのか、防弾チョッキすら着ていなくて、あっさりと血を吐いて倒れてしまった。


「っ・・・!」
ハルが、殺した。

もしかしたらこの人にも奥さんがいてそこに子どもがいるかもしれないのに、なのに。
ハルの都合で、命を奪ってしまった。



「ツナ、さん・・・!」

こんな重たいものを背負ってたんですか?
皆皆一緒付きまとうようなこんな苦しいものを、背負ってたんですか。
それなのにハルの前では笑ってくれて、ハルには背負わなくていいって遠ざけてくれて、その分皆が背負ってくれてたんですね。


「あ・・・あぁ・・・」
ハルが、命を奪った。

皆皆、この苦しみをハルに教えないようにって、護ってくれていた。
ハルは、護られてばっかりだったんですね。

想像しようもないくらいにツナさんたちの背負うものは大きくて、そんなことひとつも知らなかったくせに、傍にいたいだなんて。


「・・・ツナさ・・・ツナさんっ」
足に力が入らなくてずるずる床に座り込んだ。


すると、また扉が開いて、今度はリボーンちゃんが帰ってきた。
さすが、銃のプロフェッショナルさんですもんね。

一瞬で何があったのかわかったみたいで、ハルの顔を驚いた顔で見てて。


「・・・ハル」

リボーンちゃんだって、これよりももっともっとたくさんのこと背負ってたんですよね。
スタートラインにすら立ててなかったのに、一緒に走っていきたいなんておこがましい夢。


でも、ツナさん。
ツナさんはハルやファミリーの皆を護るために、これを背負ってくれてるんですよね。
ハルにも、ハルが護ってあげなくちゃ誰も護ってくれない大切なものがあるんですよ、ツナさん。

だから、だからこれを背負ったことに、後悔なんてしてません。
でもツナさんたちばっかりにこれを背負わせていた、のが凄く後悔してとまりません。
そうしてそれからも護られていたんだってことが悔しくて悔しくてたまらないんです。


――気持ち悪い。
でも、ツナさんたちはもっともっとこれを体験してきたんですよね。



行かなくちゃ。



「リボーンちゃん・・・ツナさんを迎えに行きましょう?」
「ハル・・・?」
たくさんの命を奪って、さっきハルが背負った苦しみよりも、たくさんの命を奪う苦しみを知ってるツナさんに、ハルができることを見つけたんです。
ツナさんがどこにいるかなんて分からなかったけど、でも分かる気がした。


「ツナさんを、助けに行きます」
ハルよりたくさんのたくさんの命を奪う苦しみを知ってるツナさんに、ハルができること。

(ハルを、助けてくださいね・・・)


命が生まれる喜びを教えてあげること。





私にできること



( たったひとつでいい、だからこそそれを全力で伝えにいこう )