「ツナさん、ハルはこの子を守るために、初めて人を殺しました」 そう言うと、リボーンちゃん以外の人たちから戸惑いの声が聞こえた。 ツナさんはさっきよりもさらに目を真ん丸に見開いてハルを見あげた。 「銃で、簡単に人が死にました。怖くて恐ろしくて、気持ち悪くて仕方が無かったんです」 それよりも、何よりも。 「ツナさんたちはたくさんたくさんそれを背負っていたんだって知って、悔しかったんです」 一番たくさんのことをしてあげたいって思ってたくせに、何にもできないんです。 こんなにつらいものを、ツナさんたちにたくさん背負わせてたなんて、悔しくて悔しくて仕方が無いんです。 傍に立っていたいのに、ハルは何にも知らなかったんです。 「一緒に苦しいことも分け合うのが、夫婦だ、なんて思ってたのに」 ツナさんばっかり、苦しいことを背負ってたんですよね。 騒がしくなってきて、隼人さんに助けてもらいながらツナさんを起こした。 「ねぇ、ツナさん。今度からもっとたくさん教えてください。苦しいことも嬉しいことも、二人で一緒に分けなきゃ。だって、ハルとツナさんは夫婦なんですよ」 だから、ここから出ないと。 護りましょう、一緒に。ね、ツナさん。 「ツナさんが苦しくなって苦しくなって、ハルのいないところで絶望しかけたら、絶対にハルが迎えに来ます」 驚いた目で見てくるツナさんのほっぺにキスをした。 恥ずかしいから、口は全部終わってからですよ。 ぎゅうっと抱きつくと、ツナさんもゆっくり背中に手を回してくれた。 またさらに物音が大きくなって、骸さんと恭弥さんが外に出た。 「ハル・・・。ハル、俺はそれを、背負わせたくなかったんだ」 「はい」 知ってました。 だから全部隠そうとしてくれたんですよね、背負わなくてもいいようにしてくれたんですよね。 「でも、夫婦だもんな」 「はい!」 ツナさん、それから。 ハルたちはお父さんとお母さんになるんですよ。 「いこう、ハル。絶対ハルたちは俺が護るから・・・。だからもし何かあって絶望しそうになったら、迎えにきて」 「――はい」 待っている以外にもできること。 隣で闘うなんてことは出来ないけど、でも、もしツナさんが帰ってこれなくて絶望しかけたら。 「必ず迎えに行きます」 だって二人で一緒にいなきゃ・・・二人で一緒にいたいんです。 背負わなくていいって言ってくれるもの、教えてください、ツナさん。 そうしたらそれ以上にハルが、幸せを教えてあげるんです。 苦しみも、喜びも、哀しみも、幸せも同じだけ二人で分けないと。 ツナさん、ずっとずっとハルは、中学生のころからツナさんと夫婦になりたいって思ってたんですよ。 「ハル、俺・・・ハルと結婚してよかった」 「ハルもです、ツナさん!」 |